管楽器修理・販売
Garage S (ガレージエス)


Garage S では管楽器の修理・販売の他、中古管楽器の        Garage S
買取販売や修理調整のみのご相談なども受け付けております。   愛知県公安委員会
〒470-2336 愛知県知多郡武豊町字山の神44-5          第542770801200号
 

 
  トップページ
  アドルフサックス社他在庫
  マウスピース販売
  中古マウスピース販売
  マウスピースの違い
  ご注文方法
  会社概要
  個人情報取扱
  特定商取引法
  問い合わせ
  きまぐれ日記

Facebookやってます。




〒470-2336
愛知県知多郡武豊町
字山の神44-5
TEL

  

お電話での受付時間
10:00~22:00

お問い合わせフォームからのご連絡は、24時間受け付けております。


2022/3/9
 ご無沙汰しています。納期がわからず時間のかかるわりに低収入の
修理が重なり自分の首を絞める日常を送っています(笑)。

 かつて「ヤマハの名器は低価格帯楽器」と聞いたことがあります。カスタム
やネームドモデルで培った技術が、基本設計が変わらないままで低価格帯
の楽器にも用いられるので、どんどん性能が良くなっていくのだとか。確かに
ClやSaxやTpやTbなど、生産本数の多い楽器では特に顕著に表れてる
感じは持ってました。Flはヨーロッパでは導入楽器として高い評価を受けて
います。ユーフォやチューバは半世紀近く基本設計が変わってないので
すごいことに思えます。一方で自分はこれらEuph・Tubaは音程と吹き心地に
疑問を持っていました。YBB321はアメリカでは音大教授が使っていたり
少し古い時代ですが、YEP321はニューヨークフィルで使ってたりしたので
悪くないはずなのですが。これらはMPの問題であることがわかってきました。
TbのMPでバックボアを測定してきたのが役立ちました。Tpではかなり規格が
統一されてきたので問題なくなってきました。Tbではシャンクの規格違いや
メーカーによる少しの違いで楽器とMpの相性がまだあります。同規格のEuph
では特許案件でしょうが、レシーバーでMPの挿入具合を調整できるモデルが
出ています。
 ここで今回の主役「チューバ」です。Tubaはシャンクのテーパー規格はそろって
きたようですが直径が問題です。ボアからくると思われますが、レシーバーの
太さがメーカーごとに違い挿入具合がひどく違っています。縦式ピストンやローター、
ヨークタイプなどの形式違い、さらにメーカーごとにそれぞれ違う規格になっている
のが、問題をややこしくしているような感じを受けます。学校楽器として普及
してるYBB641とYBB321ですが、営業で学販時代は24AWを売ってましたが、
基本の相性は悪くないけどプルプルして吹きにくかったり音程が今一つの印象が
ありました。BachのTubaシャンクは少し細目なんですね。YBB641では深く
入り過ぎます。挿入具合を調整するととても良い具合の吹奏感と音程の改善が
見られました。もっともその人にとって良いMPを選んでもらえれば良いのですが
Tubaは都会でもMPの選択の余地は少ないです。高価なものが多いですし。
定番や自分の持ってるMPが挿入具合の調整で改善する可能性があるなら
それも選択の一つになるのかなと思いました。
商品になるのか、試作中です。




2020/6/26
 新型コロナによる感染症で、こんなにも世の中に影響があるなんて、今年の
初めには考えもつかない状況となりました。幸いにも自分や周りでは感染した
と言うお話は聞きません。季節や環境でどうなるかわかりませんが、収束を
願うばかりです。
 さて、最近のマイブームですがフルート「達」です。「達」と言うのは画像の通り
いくつかに手を出しているからです。
結局は白いトラヴェルソとリングキイのFLの2本に落ち着いているのですが。
もう少し本格的な音色が出したいと言うことで、内吹き・外吹きやトラヴェルソ
の吹き方とか色々試しているうちに、何となくいい感じの音色にはなったとは
思います。では、なぜそうなったのか。内吹き寄りで効率が上がったからだと
考えてます。フルートでは下図のように息の痕が細い三角形が出来るのが
良いとされてます。それには物理的に1.5~2cmほど、つまようじのように
細く真っすぐな息の流れが出来ないとダメなようです。
そのためには今までの息の流れの1/10くらいの細さ(幅)を思わないと
いけません。トラヴェルソでより安定した大きな音を出す練習が役立ったと
思いました。アンダーカットがほぼ無いので内吹きを意識しないと、先ずは
そもそも音が出ません。自分は内側を意識しすぎてだめだったようで、
息は半分捨てるつもりでと言うアドバイスで鳴るポイントを探り、やや外に
息を向けることで、きちんと鳴る・安定した音量がでました。
このフルートの歌口では11.7mm幅だったのが、真ん中のアウロスAF-1
では10mm幅、上の白いアウロスAF-3では8.8mm幅でした。AF-3の
狭い歌口では確実に細く真っすぐな息を当てないと安定しません。この
細さにきちんと当てなくては効率良くいかないのです。しばらくAF-3で
苦しんでましたが、音量が出るようになると安定して音出しできるように
なりました。ふと現在フルートで吹いたところ、見事に先出し画像のような
三角の息の形ができるようになりました。音域により幅が変わる方が
音質・音量が良くなる感じはありますが。特に最低音C辺りは、口内を
大きく取ったり、歌口のエッジ幅いっぱいに広く息の流れを当てる感じは
必要かもしれません。
 きちんと鳴る楽器は、楽しく吹けるものですね。改めて思いました。



2019/12/18
 今年も早いもので、年末となってしまいました。「もっと更新しろ!」と、お叱りを
受けるところですね(笑)。冗談はともかく、家庭の事情により去年の年末前から
キツイ状況でした。少し整理できる時間が取れつつも、今度は営業を立て直さ
ないといけません。色々やりつつも成果のあったことをちょっとだけ発表します。
 一つは、金管楽器の洗浄です。ただ水洗いするのではなく、金管奏者なら
分かってもらえると思いますが、管内にできる緑の膜のようなものやカス、その他
汚れやサビをなるべくキレイに除去するための洗浄をはじめました。大型楽器は
場所の関係で難しいですが、ギリギリでユーホは出来てます。特に小型の楽器
では効果が大きく、吹奏感が購入時のようになったと好評をいただいております。
もちろんただ除去する洗浄だけでなく、少しだけバランスも見ています。あくまでも
吹奏感を主観で見ての話ですが。
 もう一つ。プラ管のクラの可能性をもう少し広げられました。以前から革パッドで
バランスを取りながらの交換・調整をしてましたが、音色は良いもののどうしても
吹奏感の重さが残ってしまい、音色とのバランスの悪さを感じてました。パッドの
材質を変えて調整することで、大幅な吹奏感の向上を得たと思います。ヤマハの
旧タイプ品でまあまあのものができたので、手元貸出用のクランポンでやってみた
ところ、こちらはクランポンの木製中級機種に決して劣らない出来になったと思い
ます。ここで考えたのは、新型のヤマハのプラ管のことです。ヤマハの一つ前の
型からは上位機種の技術が一気に取り入れられるようになり、通常のものでも
かなり良い音色と音程をしていました。タルの外観に膨らみやベルの内側奥に
くぼみのあるYCL250や現行のYCL255です。これらの機種を今回の方法で
全パッド交換・調整出来るとそうとう使えそうな楽器になる予感があります。外で
吹いたりする予備の楽器だけにはもったいないほどの仕上がりになりそうです。


2019/5/1
 令和に入りました。家庭の事情もあて忙しい日々となっています。
画像はAxosのU字接続部分です。いつもならテープなんか張ってと
思いながらやり直しをするのですが今回は違いました。こうなってたら
良いなと思うやり方で組み立ててありました。むしろやり直す必要が
ないほどです。量産品でここまでのことがやってあるのは初めて
だったので驚きましら。きちんとわかっている人が居るのなら、あとは
量産技術の問題なのでブレイクスルーできれば可能になるのですね。
今回は自分のやり方でやり直してみましたが、ここで新しい発見です。
古いタンポの付け方をした旧YAS62とM6の独特の重厚な感じの音色
ですが、ひょっとしたらこのU字管の接続方法の方が影響が大きいかも
しれません。タンポは工場からの状態で、U字管だけ自分流でやり直
したこのAxosが、ノーマルよりもやや重厚な感じになってくれました。
開きを調整したこともありますが、調整後にU字管を処置したので、そう
思えました。ぜひジュビリーに重厚さを出すために使えないか試して
みたいところです。

 

2018/4/16
 太管アメリカンシャンク用のレミントンシャンクアダプター製作。意外に
多かった問い合わせです。絞りやプレスでは作れないので旋盤削り出し
で作れるかの実験です。一応出来たものの、肝心のレミントンシャンクの
楽器がないため試奏出来ず。バック太管MPで位置決めをいたいため、
楽器の入手までしばらく待機となります。
結構ツールマークが残ったので、仮の位置決めがてら内径をきれいに
削ったら際まで来てしまいました。ところが同じアダプターでも製造ロット
の違う61/2ALならギリギリOKだったりします。この差1/100mm以下。
数字管理をきっちりしているY社さまは本当にすごかったと改めて思いま
した。
 
 
 
 
2018/2/8
 今年に入ってもう1ヶ月!? 早いです。今週末は多摩プラーザで行わ
れる「37th Saxophone Festival」にお邪魔します。アドルフの楽器
達や、古い楽器用のMPの展示をしています。展示品や見切り品の
販売もやってます。
販売のページには出ていませんが、High Picth使用の息子時代の
アルトを1本持って行きます。これは何人かの試奏と意見で以前から
あったHigh Picth仕様の音程改善の要望に沿うよう、調整してみま
した。オリジナルの状態を崩したくないので、元に戻せる条件で加工
したために音程補正はかなり甘いものの、全くのオリジナル状態よりは
ましな「感じ」になっていると思います。(この個体の状態も悪いので
開場限定のお値打ちな価格で展示いたしますよ) 前出の漆のネック
や今春発売予定の台湾の新しいメーカーのアルトなども展示してい
ます。
 開場にお越しの際はお立ち寄り下さい。
 
2017/12/12
よくあるブラックラッカーではありません!  本場輪島の漆塗り仕上げの
サクソフォンネックです。やや取り扱いの難しい仕上げですが、ラッカーの
ように響きを吸収するような感じもなく、表層ごと本体と同じように振動する
感じで、よ~く鳴ってくれる感じです。サクソフォーンフェスティバルやナゴヤ
サックスフェスタに展示できると思います。今のところ画像の62アルト用と
SⅢソプラノネックのみですが、興味のある人はお声掛け下さい。
 
 
2017/11/1
 気が付くと半年も更新していません。おかげさまを持ちまして中古はかなり販売完了
いたしました。家庭の事情もあり、修理の時間が確保しにくくなっております。皆様には
ご迷惑をお掛けいたしております。今回、少々難物の調整依頼があり、相談自体は
良く受けるので紹介したいと思います。

 ヴィンテージ楽器に現在のMPを使って吹く場合、デザインの違いから極端に音程の
悪い部分や音色のそろわないことがあります(金管木管・種類に限らず)。奏法や物凄く
気を付けて(キイがあれば替え指などで)吹くことで音程を合わせながらは吹けますが、
一音だけ極端に違うと限界があります。時折そう言う場合の相談を受けます。
 今回1915年くらいのカーブドソプラノですが実際に調整することになりました。現在の
MPで何とか許容範囲内のスケールに収められるようにとのご依頼です。セルマーMPで
吹いてみると、Oc上の「ラシド」が以上に高くなり、下と中音の「レ」が低くなります。音程の
悪い音だけを処置しがちですが、オクターブ上下や音のつながりの関係などを見ると、
単音処置ではうまく行かないです。そもそもMPのデザインが違う、楽器の基準ピッチが
440Hzくらいとなっているが実際には435Hzくらいで全体のスケールが合う、キイの開きが
広いために必要以上に音程が悪くなり音がそろわなくねっている、などの状態から442Hzで
何となくスケールでの音程を許容範囲に収めないといけません。
 バランス調整で普通に音出し出来るようにして、先ほどの特徴から下のスケールだけは
442Hzで何となく問題ないように吹けるMPの位置を探ります。続いて、Oc上のスケール
が設計上50セントから半音以上高くなるので、それに対する処置をします。これで何となく
全体のスケールが落ち着くはずです。この時点では、下の「レ」か「ド」が極端に高かったり
低かったり、Oc上の左手主鍵が高め、その上の音は全部高めとなりがちです。ここで
個々の音程を処置することになります。 せっかく生きながらえたヴィンテージ楽器なので
元の状態に戻せないような改造はしないようにしています。



2017/5/4
 御無沙汰いたしました。各地での展示や新学期対応の修理でてんてこ舞いの状態です。
さて、Rascherマウスピースの価格を変更させていただきます。本国定価の上昇を、円高で
据え置いてまいりました。しかし、次回入荷からはどうにもならない状況となってきたので、
販売価格を値上げさせていただきます。6月1日からの予定です。何とぞよろしくお願い
いたします。
 
 中古販売の楽器がいくつか集まっています。通常の修理で整備がおいつきませんが、
とりあえずリストだけココで発表しようと思います。ご興味のある方は直接お問い合わ
せ願います。
     ヤマハ アルトサクソフォン  YAS-62(旧)
     ヤマハ テナーサクソフォン  YTS-61(銀メッキ仕上げ)
     ヤマハ テナーサクソフォン  YTS-62(旧)
     ヤマハ バリトンサクソフォン YBS-61
 
     サンキョウ フルート エチュードC/C
 
     クランポン クラリネット R-13BbSP
 
 
 
 
 
2017/1/13
Adolphe Sax社(Edouard)High Pitch
 新年も明けました。年末・年始から今に至るまで、大変忙しく過ごさせていただいてます。
年末、専門に勉強されている方のアドルフの試奏がありました。久々の専門的な試奏対応
でした。パパアドルフからエドワルドへ変わり、ある瞬間に音色・発音と音楽感の変化する
時がありました。本人曰く今までにないほど音楽に集中していたそうです。ここまで吹けると
自分の中で色々な発見が押し寄せて来るようです。久しぶりの感覚で感動しました。
 
 やはり、アドルフは吹いてもらうもの、慣れてから価値が出るもののようです。 
 
 
2016/12/7
 サクソフォンのネックを試奏する機会がありました。金メッキ、インナーゴールド、
ピンクゴールド、銀メッキ、プラチナメッキの仕上げ違いがありました。銀メッキやプラチナ
メッキやピンクゴールドはメーカー説明や感じたままの音色でしたが、金メッキとインナー
ゴールドの評価が逆点しました。これは一体どう言うことでしょうか。
 金メッキは非常に吹き安く、息もストンと入ります。ただ、
はじめ吹いた感じが金っぽい
音色になりません。吹き込んでいくとそれっぽい音色になるのですが。インナーゴールド
の方は、吹奏感が重めで少~しつまる感じもします。しかし、金メッキより厚みのある
金メッキっぽい音色がします。慣れれば息が詰まる感じも気にならなくなりました。
自分だけでなく、何人かが同じ印象でした。
 金メッキや純銀製の楽器は重いと言う先入観があります。なので吹奏感が重いもの
だと思いがちです。しかし、実際には抵抗がきつかったり吹奏感が重く感じる分、少し
吹きやすいようにバランスがとってあることが多いです。すると、見た目は重いのに吹いた
感じはそこまでではないので、今までの楽器とあまり変わらない感じで吹いてしまいます。
仕上げや材料が重めの鳴りの楽器なのに、吹奏感にだまされて上っ面で吹いてしまう
のです。ステージで本番をして、客席から聞くと(録音したものを聞くと)すぐにわかります。
そうこうしているうちに、「ああ、やはり金メッキは重いからしっかり吹き込んで鳴らさないと」
と気付くのです。はじめから仕上げに適した抵抗感があれば、それらしい吹き方をするので
はじめからその仕上げっぽい音色になってくれるのだと考えています。
 特に純銀製は抵抗や重さの割りに反応が良いのでだまされがちになります。少し抵抗を
付ける調整をすることで(吹くのは大変になりますが)純銀の音色がより出やすくなると
考えます。
 
 これはあくまでも、個人的な憶測に基づく考えですが、実験してみると抵抗を付けた
方がその仕上げっぽい音色になるので、一理あるのではと考えています。
 
 
 
2016/11/28
 楽器フェアも終了し、一ヵ月がたとうとしています。おかげさまをもちまして、バスクラの
試奏は大変ご盛況を頂きました。ありがとうございました。アドルフの方では色々なプロの
ご来場を頂きました。新たな課題も見えた反面、成果もありました。ロウピッチのアドルフの
息子のアルトが、MP次第で何とか440Hz以上でも演奏可能なようなことがわかりました。
引き続き、Goldbeckの捜索は続けないといけませんが。

 さて、バスクラは皆さんに試奏して頂き、評価を得たのではないかと思います。中国製の
Low Cがどれくらいのモノなのか、見ていただけたのではないかと思います。皆さんの
率直なところとして、安い方は使えそうなレベルで価格の割りに高性能、高い方は価格の
だけ操作性が良くて音色も高級感ある感じだったようです。実はフェア後に商談があり、
お客様が現在お使いのノブレと今回の2本を吹き比べることがありました。金管楽器を含め
た各パートが個人練習する中で試奏しました。驚いたことに、少し離れて聞いてみると、
ノブレは聞こえないのに、2本のLow C 特に安い方はきちんと聞こえてきました。バリサク
の音がのっかっても、音色は別として高級機種並の音量に聞こえてくるのです。音色が悪い
と言っても、木製と比べて著しく落ちることはないので、それなりに聞けます。これだと
ステージだとノブレと比べると差が出るなと思いました。予算のこともあり、安い方のご購入
となりました。ここまでの差がつくとは思わずびっくりしました。高い方も、クランポンと比べる
機会がありました。さすがに差が出ましたが、2本並んで吹いても、一方が樹脂製で音色が
ひどくてもう一方を邪魔する所までの音色の差とは感じませんでした。厳密にはウデでカバー
されているのが大きいと思います。MPが持つ音色のコンセプトや個体差をうまく合わせないと
ひどい差となることはあるかもしれません。管体材料のせいか、そのMPの差が大きく出ると
聞いていて思いました。
 
 
 
 
2016/10/25

 楽器フェアまで一ヵ月切ってます。バスクラの整備が終りました。これですぐ販売できます。
もう一本、キイがフル装備のLowCが借りられるので、こちらも楽しみです。フル調整された
大陸製の楽器がどんなモノか確かめてみてほしいです。ちょうどY社のバスクラが来たので
比べてみました。
特にすごかったのは←ココ!
寸法的にはほぼ同じで互換性もありました。しかし、妙な音程の狂いが出ます。一応本体が
S社コピーなのでY社のネックではあわないのでしょうか。その辺りの整合性を合わせている
可能性もあるようです。
 アドルフも準備していきます。今回はもう少しラッシャーMPを考えてみます。アドルフはとり
あえず吹いてもらはないことには、ラッシャーは入手してしばらく使ってもらわなければコレらの
良い所が見えてきません。その先には良いことばかり待っているので、是非試して頂きたい
ところです。楽器フェアにお越し下さる場合は当ブースの方へも顔を出して下さいね。

 
2016/8/13
  今までGoldbeck社のSaxophone用マウスピースを集めてきました。アドルフに使用
するためもありますが、その音色にRascherに似た独特の木管っぽい魅力もあるから
です。メタルマウスピースにありがちな水によるノイズが極端に少ない副産物もあります。
しかし、1920年以前の管体設計に合わせて作られているため、現代楽器だとピッチが
低くなって使い難いものでした。何か詰め物をして、チェンバーの容積を小さくすれば多少
ピッチは上げられるはずなので、リクエストもあり詰め物をしてみました。過去、紙などでは
失敗しましたが、今回偶然ゴムでやってみたところ良好な結果を得ました。435Hz辺り
だったのが445Hzまで上げられたのです。ピッチを上げると明るい音色になりますが、
ゴムが吸収するせいかそのプラスマイナスであまり音色の変化を感じませんでした。吹いた
時の抵抗感も軽めになることが多いですが、ゴムシート断面が程好い抵抗を作るせいか、
こちらも大きな変化を感じられません。オクターブ上で下の音より50セント近く高くなるのは
擬似的にネック入り口にゴムで絞りのデザインを入れて対処できました。おかげで445Hz
でも安定したピッチのスケールで吹けるようになりました。MPに入れるゴムの容積を変え
たり位置を変えることで442Hzも安定して吹けます。Goldbeckを現代楽器で使えるのは
Rascherと合わせてクラシックっぽい音色の選択が増えるので良いことに思えます。
 
 
試作段階、ゴムホースを切ってはめ込む。左上のように切れ目が無いくらいが良さそう。
 
以前からネック入り口に擬似的なしぼりのデザインを作るために、この部分に紙を巻いて
入れたりコルクを入れたりしたがうまくいかなかった。今回薄いゴムシートで試したが、
良い結果が出た。アドルフのしぼりも0.8mm位なので、今までが薄すぎたり厚すぎたり
して、結果に出なかったのかもしれない。ゴムシートは1.2mm厚までは良い結果が出た。
幅も関係ありそう。ひょっとしたら位置も関係あるかも。アドルフは先端から2cmくらい奥に
しぼりが有る。
匂いや口に近いことから、シリコンゴムで作ってみた。
結果は良好。楽器やMP表面の仕上げに影響しないためにも、こっちの方が良いかも。
 
 
 
2016/7/17
 現在、新品の市場のサクソフォンの中で19世紀の管体デザインを持っている機種は
一つしかありません。現代楽器に近いキイアクションで古い管体デザインを持つものなら
Buescherがありますが、キチンと調整されたものは少ない上に、独特のキイデザインが
操作性を損なっていて、奏者が受け入れにくいのが実情です。19世紀の管体デザインを
含み、現代のキイアクションを持った、安価な機種があれば、Rascher MPと合わせて
よりハードルが低く、19世紀の音色を楽しんでもらえないかと考えています。現代楽器に
Rascher MPでもそれなりの音色になりますが、管体が19世紀のデザインに近ければ
より効果的になります。そう考えているところに、大陸製楽器にそれらしい機種があると
言う情報が入ってきました。取り寄せまでに時間がかかりそうですが、ちょっと期待を
持って待っています。
 
 
2016/7/5
 いつのまにか今年も半分が過ぎました。更新も久しぶりです(笑)。
ここのところ本業である調整の方で、サクソフォンの弱音のコントロールに関する勉強を
させて頂く機会がありました。サクソフォンだと、fやffやfffでホールいっぱい響かせるのは
比較的楽なのですが、フルートやオーボエやピアノのpやppとの共演は大きな課題でした。
最新の音楽を勉強されている方々は、その辺りの練習もされてます。それに適した調整
方法があるらしいのは知ってましたが、今回少しだけ試させて頂くことができました。基本的
には奏法ですが、ラージチェンバーMPの抵抗感を知っているとイメージがつかみやすい
ようです。そこに現代MPと現代楽器で似たような感じを再現できると良いようなのです。
人や楽器によって違いがあるので、一台一台をその人に合わせて調整する必要があるよう
です。フルートのppより小さな音量で曲を吹く、出来ると表現の幅が一挙に広がります。
現代楽器でもこの音量での音色感には、アドルフの音色があります。この音量・音色感
だと、バッハのカンタータや民謡と言った小品がとても良い感じで吹けていました。これなら
表現の幅が広がるだけでなく、正統なクラシックの歌い方を、改めて習い直せるのでは
ないかと思わせてくれました。
 
 
2016/5/9
 2ヶ月放置ですみません。今週末は大阪で展示・販売会です。楽器は高いので
売れるかどうかわかりませんが、MPは積極的に売っていきたいので、選定作業を
しやすくするためにケースを作りました。キズ防止の保護テープも事前に張って
いかないと。以外にアルトの数が少ないので早いもの順になるかもしれません。
 
 前々回のバスクラと次の入荷分は、新年度予算で購入先が決まっています。
大変ありがたいことですが、次回入荷は未定となっております。申し訳ありません
が、よろしくお願いします。
 
 


2016/3/23
 現在「ブレーメン」でバスクラ展示中です。プロ・アマ問わずに試奏の感想を聞かせて
もらっています。よく聞かれるのは、音出し直後の「この材料は何ですか?」です。
「樹脂、正確にはハードラバーでMPの材質と同じです」そう答えると「ああ」と言う表情
をされます。プラスチックではなくMPと同じだからこの音なのかと。 音色は木製と
比べてもまあまあだし、音程もほぼ問題なし、なによりこの値段!。 価格からすれば
十分使えると言われました。
 
 
2016/3/10
 東京でのサクソフォーンフェスティバル、参加された皆様、お疲れ様でした。
次のアドルフ展示は3月に名古屋になります。
 
本日の記事、先ずはCello&Coo バスクラ BCL-7 入荷のお知らせです。

正直に言って、前々回の入荷分は今一でした。MPを選ぶことで何とかなりましたが、
音色の幅が少し狭かったようです。指定以外のMPだとプラっぽい感じになりました。
前回の入荷分は素晴しかった!! オリジナルのセルOーの木管っぽい音色をしている
だけではなく、バンドレンMPならバンドレンっぽく、セルマーMPならセルマーっぽい
感じで鳴ってくれました。音色の融通が結構利きました。今回の入荷も前回同様良い
感じです。どうもネックの感じが違うっぽい(?)せいか、格段に木の音色のするバスクラ
となっています。いつも通り、分解の上で全体調整しますので、販売まではしばらく
お時間を下さい。3月はブレーメン2周年感謝セールです。20日はクラリネットの日
なので、試奏できるように頑張ります。
そ・し・て!!、来月にはもう一本入荷の予定です。今後、工房またはブレーメンに来ら
れる場合は選定可能にしてしまいます!

 次の記事は、フェスティバル後に気付いたこと。GoldbeckのCメロ用MPがアドルフ社
息子時代のハイピッチのアルトに音色と音程がジャストフィットするのですが、自分には
ちょっとコントロールが難しいセッティングでした。ところが、元々Goldbeckは初期型と
後期型で長さや幅が違うのですが、今ある2つがちょうどそうで、たまたまもう一方の
方で吹いてみたら・・・!、音程がすごく合うようになりました。セルマーC☆で中の削りで
四角の広い狭いが時々ありますが、思った以上にオクターブ上下のスケールに影響
します。結構わずかな容積の差でも影響することがわかっています。Goldbeckでは
初期・後期で全長以上に容積に違いが見られるのですが、随分スケールの音程が
合わせやすくなりました。(オクターブ上のピッチが上がる場合は容積の大きいものを、
探すと良いかも) 改めて発見した気分です。2/15のアドルフ(息子時代)はかなり
正確な音程で吹くことができます!
 
 
 
2016/2/15
 前回からの更新が2ヶ月近く経っているのは気のせいです(ごめんなさい)。
ちょうど前(下)の記事がバスクラですが、コチラは販売されました。今は入荷待ち
です。ただし、輸入元さまからのご好意もありまして、名古屋の「ブレーメン」で常時
展示出来そうな方向です。もちろん分解の上、調整と調整パーツを取り付けて、
何とか普通に使用できるところまで持っていきます。「大陸製はちょっと」と思われる
でしょうが、ぜひ吹いてみて下さい。

そして、現在2/27(土)に向けてこちら(上画像)を修理中です。サクソフォーンフェスティバル
の直前に発売されるCDで、Adolphe Sax(息子)の楽器使用による小品集があります。
こちらの楽器はCDで演奏されたのとほぼ同じ仕様の楽器です(コチラはフロントF無し)。
個人的には聞くのはもちろんのこと、こちらの楽器を吹いてもらって、その背景にある
ものを味わっていただきたいと思っています。きっと別の世界が垣間見えることでしょう。
それは、とても言葉では伝えられず、体験していただくしかない世界です。
 
 
 
2015/12/31

 今年最後に入荷しました、ハードラバー製のバスクラLow C。休み中にやるべき
修理のため、こちらの調整にはすぐには取り掛かれませんが、試奏は出来るように
します。アドルフ同様、お待ちしています。年末年始も作業しています。お問い合わせ
はお気軽にお寄せ下さい。
 本年は個人的に仕事以外のことで忙殺する日々となりました。
お客さまにはご迷惑
をお掛けしました。来年も一部引き継ぎそうですが、何とか通常営業に持って行きたい
ものです。

       本年もHPの閲覧・修理のご依頼などありがとうございました。
               来年もよろしくお願い申しあげます。


 
2015/11/6(NO.3)
も一つおまけ!
こんなものが入っております。先だって3個目のGoldbeck C Melodyの
 
マウスピースを入手したのですが、それらを元にコピーしてもらいました。
 
これでAdolphe Saxのハイピッチアルトを442Hzで演奏可能となります。
 
今までは付属のMPがありませんでしたが、一応はこれで演奏可能となり
 
ホッとしました。ついでにアルト用もコピーしてもらったのですが、現代楽器
 
にはピッチが低めとなりました。1950年くらいまでの楽器には良い感じに
 
クラシカルなサウンドを出してくれて、音程も良くしてくれるようです。
 
 
 
 
2015/11/6(NO.2)
 最近とある事情から、こんなものを入手しました。
New York Bach Tb Mp 細管用
 
12の方はサイズ的には現在に近いですが、バックボア形状がスタンダードに比べて
一部細めになっています。6の方は短いのですがバックボアの形状自体は12と同じで
先端の拡がり部分がカットされています。よく落として変形するので切り取られたのかと
思いましたが、

先端の厚みにあまり違いがなく、わざと短く作られた感じがします。バリトン用
だったのでしょうか。その他にも6はリム形状が現在のモノと全く違っています。
12もいい感じに唇と当たるのですが、6はもっといい具合に触れてくれます。


リムはフラットですが角の落し具合が絶妙で、12も6もサイズに関係なく
気持ちよく触れてくれます。
細管なので現在の42Bなどに合うだろうかと思いましたが、いつものように
位置を合わせていくと、許容範囲が狭いものの非常に上品な音色を発して
くれました。唇の触れ心地と言い、音色感と言い、少々マニアックな部類に
入ってしまうのでしょうが、非常に捨てがたいものを持っています。
定番と言われるモノには、かつて定番となった理由があり、それらのいきさつ
がわかっていると、現在にも通用しうるモノとして甦らせられるのですね。
 
 
 
 
2015/11/6(NO.1)
 バスクラ販売されました。次回入荷予定年末となります。ひさしぶりの更新がこんな感じで
申し訳ありません。もう少しまともなお知らせを追加するとトップページにある通り、ずいぶん
久方ぶりにRascher Saxophone Mouthpiece が入荷しています。円の動きに左右され
中々タイミングが計れませんでしたが、やっとの入荷です。販売価格は表示にのようにさせて
頂きますが、送料込となるのでよろしくお願いいたします。



 
 
2015/8/16
 あっと言う間に2ヶ月も更新の無いままでした(すみません)。
お盆休み中に、アマチュアのバスクラ吹きの方に例のバスクラを試奏して頂けました。
実は楽器に合うMPのセレクトで苦労したのですが、最終的にSelmer の新製品が合うようです。
開きの広い方のコンセプトを付けることにしました。実際に吹いているのを端で聞いていて、
樹脂製とは思えない音色に改めて驚きました。楽器がセルOーのコピーと言うこともありますが
セルマーのMPが合うようです。この感じは少々驚きなので、是非試奏して欲しいものです。
正直キイの作りや動きに無理やり感がありますが、何とか使えるように調整しました。
中古の本体木製で安価なバスクラをお探しの方が多々いらっしゃいますが、コチラの楽器
でしたら十分その替わりを果たしてくれます。


 付属にはNoブランドのMPが付きますが
Selmer コンセプトを付けて販売価格¥300,000円(税込)です。木製と違って割れないし
調整の必要はありますが、リードを樹脂製にすればかなりコストパフォーマンスに優れた
楽器となります。お気軽にお問い合わせ下さい。
 
 
2015/6/10(2)
 展示準備中に興味深い発見がありました。
この楽器は
アドルフサックス社他在庫にもあるEdouard時代のLowPich仕様のアルトです。説明文に
あるように、基本ピッチが低めなので現代楽器と合わせるには?でした。展示に当り試奏で
どのMPを使うか見ていたところ、バンドレンA17だと、440Hzで実音Aくらいに収められそう
なことがわかりました。ローピッチの楽器を無理やりハイピッチにして吹くので多少音程の
とっちらかるところもありますが、何とか許容範囲に収められそうです。You tubeなどで、
アドルフ(息子)のアルトにバンドレンを使うのを見かけますが、こうした事情だったよう
ですね。アドルフらしい音色から随分と現代よりになってしまいますが、標準的な範囲で
演奏できるのは何よりです。ただ、販売においては音色のことがあるので、価格
お値打ちな設定とさせていただきます。
 


2015/6/10(1)
 関西サクソフォンフェスティバルんが終了いたしました。多くの方にお越し頂き、当ブースの方へも
お越しいただけたようで、誠にありがとうございました。やはり「百聞は一見にしかず」ですね。
アドルフを知っていただくには幾つもの言葉より、一度の体験だと改めて思いました。


こんな感じで展示いたしました。関西へは
久しぶりの遠征でした。SNS上で知り合えた方々ともお会いでき、中々に濃い内容と
なりました。酒の席での発言ですが、興味の有る方で集まって頂き、音出しできる場所
を確保できるなら、手弁当で楽器を持ち込みます。名古屋市内でも試奏可能となりました
ので、詳しくはお聞き下さい。



2015/4/29

 世間ではGWでお休みの人が多いようですが、修理がたまっているので頑張ってます。決して
後ろ向きな訳ではなく、楽器をイジルことが好きなので楽しんでいます。
 さて、修理とは別に、少々まえより考えていたことを実行中です。時折お問い合わせ頂いている
バスクラリネットの中古に関しまして、中古とは別に価値ある新品の在庫をいたします。最近の
中国製管楽器の飛躍はすざまじいもので、数年前に入荷したものとは別物に思えるほどの進化
をしていました。日本国内において20~35万くらいの低価格バスクラリネットの中では群を抜いく
総合バランスの良さを持っています。各メーカー、音色や操作性では一長一短あるのですが、
他メーカーには無い「Low C」「ネックのセパレートオクターブキイ」が抜きん出ています。加えて
音程の良さ・音色の良さ、それらすべてを総合的に見た時の価格、全体に見てバランスが取れて
います。入荷に先駆けて、入荷予定とは異なるタイプのバスクラをお借りしました。BCのコピーに
なりますが、音色や音程のクセなど似ていました。後押ししながらブリブリ吹くのではなく、軽やか
に吹くのであれば十分使用可能です。入荷予定のモノはセルOータイプなので、その楽器特有
の音色感が少しでも出ると良いなと思っています。


低音小指が一個少ないものの、何とか
なるでしょう。ニッケル仕上げなのも、音色に良い影響があると思います。きちんと
調整してからのお知らせになるので、価格などはその後の発表となります。
 どんな楽器か入荷前から楽しみです。
 
 
 
2015/4/27
 いつの間にか5月になろうかと言うところまで更新が伸びてしまいました。色々あって大変な
真っ最中です。  さて、こんな修理をしました。

左手中指が届き難いと言う事で指貝位置を5mmほど向かって右側へ移動します。

ほんの僅かのことですが、随分押えやすくなったようで運指が安定したようでした。
自分の手では感覚がわからないので意外と難しい加工でした。

 
2015/2/28

 ちょっと話しにくいことを見つけました。人によってはそんなに気にならずに補正しながら吹いて
いらっしゃるかもしれません。少し古いベッソン967や968とバックのMPはあまり相性が良くない
ようです。定番の61/2ALはユーフォ用とも言われますが、それに限らずバック太管MPと古めの
ベッソンのMPの設定が違っているようです。画像の通りMPがほぼ抜け落ちるところまで出すと
基準ピッチは435Hz以下になるものの、全体に非常に良い音程を得られました。だからといって
主管などを切って短くすると、基準ピッチは上げられても一部音程に影響がでます。バックボアの
設定が少し違うようなのです。他のバックでもほぼ同様の結果でした。現行のベッソンでは確認
していません。あくまでもイギリス工場で作られていた時代までのことです。手元に他のメーカー
が無いのでどこのメーカーが相性良いのか検証していません。
ところで、ヤマハYEP321(ラッカー)は
隠れた名器だと思います。普及しているYEP321Sや
YEP621S共々、音程のクレームを時々
聞いています。こちらも一度詳しく調べてみたい
ものです。付属のMPなら問題ないのか、バックとの相性は、興味深いです。
 
2015/1/12

出先でトロンボーンアダプターの調整が出来るようになりました。今後は名古屋の「ブレーメン」
でも調整可能です。また、近県の場合は出張もご相談下さい。
 
 
2015/1/1
 
 明けましておめでとうございます。
   本年もよろしくお願いいたします。
 
 アドルフイヤーも明けましたが、いかがお過ごしでしょうか。学校の冬休み入り辺りから
ずっと修理をこなしています。もちろん年末年始もやってます! ありがたいことに大きな
修理をまかせて頂けて、頑張らないわけにはいきません。 ところで、使う予定があって
いくつか在庫の楽器達の撮り直しをしたので、少しだけ公開いたします。


左下はBuscher TrueTone (Ⅱ) ボディラインの違いがわかりやすい
と思いませんか。
他はアドルフ社です。右下の管長が長く見えるのは実際に長いです。BuescherがLow
ピッチ表示440Hzくらいですが、こちらは435Hz以下のようです。実際Mpにもよります
が、420Hzくらいで全体の音程が安定します。また追々調べて行きたい議題です。
 
 
2014/12/2

 2014楽器フェアが終わりました。多くの方にご来場いただきありがとうございました。サクソフォン
同様、トロンボーンの方にも目を向けていただけて、こちらもありがとうございました。関東には
来年早くにも再度行けそうなので、またお知らせいたします。
 
 
 
 
2014/11/17

 2014楽器フェアまで、一週間を切りました。色々あって準備が遅れてましたが、急ピッチで挽回して
ます。今回はアドルフサックス時代・息子の時代・セルマー買収後の3つの世代を追ってアルトサクソフォーンを並べることが出来ます。使い勝手の良い息子時代のアルトがあるのですが、Lowピッチの
ため特価でご紹介することにしました。是非、会場でご覧下さい。一部で評判の良いGoldbeck社の
MPも持ち込みます。こちらのMPはご紹介だけで販売はできません。トロンボーンのアダプターも展示
いたします。こちらも興味のある方はお声掛け下さい。
 
2014/10/13
MPとF管レバーの位置で見比べてみて下さい。

楽器はConn 88HRでMPは定番のBachです。詳細はMPの位置合わせのページをご覧下さい。
この状態での違いは実際に吹いてみないとわかりません。「2014楽器フェア」でこの楽器とMPを
展示しようと思うので、興味のある人はブースにお立ち寄り下さい。それにしても、レミントンシャンク
からスタンダードシャンクへの変更で、元々太目でやや遠い位置で留まっていたMPがかなり浅め
のところまで挿入されるようになったために、Connは合わせられるMPの種類が偏ったように思わ
れます。面白いことにMPのリムの位置はレミントンシャンクの楽器にレミントンMPを装着した位置
に似ています。
 
 
2014/8/15(その2)

 お盆と言うこともあり(?)、連続投稿です。もっとも休まず修理はやってますが。
こちらは時折載せているTb調整用のMPアダプターです。つい先日もMPの位置合わせ
のご依頼で、いくつか作りました。位置合わせでは0.1mmくらいの精度が必要で、それを
実現するためには、このアダプターの厚みを5/1000mmでコントロールする必要があり
ます。それなので、位置合わせの作業は結構時間が掛かります。
 ここで再発見したことがあります。定番のBachの太管MP61/2AL近辺のサイズですが
以外にも61/2Aや61/2AMの方が使いやすい感じがします。バックボアを見ると、
61/2ALよりも61/2AMの方が、61/2AMよりも61/2Aの方が拡がり方が大きくなって
ます。もちろんスロート径や、カップの深さ、容積比などの要素もあります。しかし、正確に
位置合わせをすることで、これらのMPが設計上持っている、性能や性格がきちんと反映
されるようになったようです。位置を合わせて性格の合ったMPで吹いてもらうと、楽器
のメーカーに限らずBachのMPでBachサウンドを引き出すことが出来ました。Bachの定番
楽器に吹きやすそうなBachのMPを位置合わせすると、物凄く色の濃いBachサウンドに
なりました。是非合奏の中やステージで、どのように聞こえるか拝見したいものです。
 
2014/8/15(その1) 

 一ヶ月以上あいだが開きました。名古屋の拠点作りがあったり、「2014楽器フェア」
出展のための説明会や事務手続きがあったり、仕事に支障が出るほどの私的な事情
あったりで、大変だったりします。
 さて画像の左から2つ目はやっと入手したMPです。左からGoldbeck社製テナー・
Cメロ・アルト・アルトです。GoldbeckのCメロ用MPはアドルフの特に息子時代のアルト
において、音程を改善できる可能性を持っていると言うことで探してました。普通の人
には少々きつくアルト用の方が扱いやすいと思いますが、息がしっかりしている人には
これくらいの容積がないと、Otの上下の音程が取れないようです。しかしこのMP、
恐ろしく数が少ないのと、正確な情報が少ないために非常に入手困難でした。テナー
サイズのCメロを使っている人にも中々使いやすいMPのようです。ちなみに入手価格
は普通でしたが、それまでの苦労や掛かった経費を考えると、とても譲れるものでは
ありません。そんな訳で、久しぶりの更新は小躍りするほどうれしかったMP入手の
報告となりました。そう言えばサクソフォンの話題も久しぶりですね(笑)。
 
2014/7/5
 
業務連絡。

 
2014/6/11

 画像は、トロンボーンのMP挿入部分の大まかな断面図です。Tbの場合、MPの
レシーバー部分とマウスパイプが一体パーツになっており、材料の薄いレシーバー
部分はわずかなズレであっても変形してしまうのは以前指摘した通りです。また、
インナースライドの中にあるマウスパイプは、「くびれ」の部分に空間があり、変形しよう
とするチカラに対して対抗する部分がありません。もし変形させたくないならMPの
レシーバー部分とマウスパイプ部分を分けた上、レシーバーを肉厚のある変形し難い
ような材質でしっかり作り込まないといけません。そうするとウエートバランスが変わる
ので、はじめからその辺りのバランスを取り直す必要があります。すでにお持ちの楽器
では、そのような変更どころかマウスパイプを交換することですら、それまでのバランス
変えることとなって憚られます。画像において、MPのバックボアからマウスパイプ
が、赤いラインのイメージでつながっているのが確認できるでしょうか。Mpが奥まで
入るとこの赤いラインがズレます。よくMPとマウスパイプの段差やレシーバーのガタに
ついては語られます。しかしこのつながりについては、はっきり見てとれなし吹奏感に
直結して関係あるように思われないので、重要らしいと言う認識しか持ち合わせて
いないようです。ではこのラインがつながらないとどうなるのかと言いますと、
タンギング頭に破裂音が入ったり、反応が悪くて発音がしにくかったり、高い音域や
低い音域でコントロールがうまく出来ずにひっくり返ったりします。それまで、MP側を
メッキなどで膨らませるか、ビニールのようなものを噛ませるしか方法が思いつきま
せんでした。実際ビニールと細かな部分はセロテープをいろいろな形で貼ることで
位置を決めてましたが、それでは恒久的でなく困っていました。そこでもう少し長い
スタンスで変形することなく使えるように、金属で薄いアダプターを作り、一つのMP
と一つの楽器をバランスを合わせて調整することにしました。現在そのアダプターを
作る準備をしています。実際には先ほど書いたように、MP楽器の一つ一つの組み
合わせで位置が違うため、細かな設定調整が必要になりますが。

2014/5/30
業務連絡で、画像UPいたします。

斜めの筋が割れです

上管の上のU字管

ベルのキズ

ケース状態。四隅ともガムテープ張り。

キイのUP画像、本体の筋はキズです。
パッドは交換してあるようなので、バランス調整でも音出しできそうです。
その他、ネック留めネジの受けが半田付けになっているので、ロウ付け
にやり直すなどの細かね修正があります。
 
2014/5/11


 トロンボーンのMPのシャンク部分を見ると、楽器に装着時に付いた傷があります。特に
レシーバー端と同位地で付いたと思われるキズに注目してみて下さい。2013/10/12に
触れましたが、実際に楽器に装着してみると、そのキズより数ミリ奥まで入っていきます。

画像では半装着ですが、はめてみると1.5mmほど奥に行きます。大体キズ位置で留まる
ようにセロテープを貼ると、途端に発音がしやすくなりました。楽器によっては必ずしもキズ
位置が発音しやすい場所とは限りません。楽器やMP一つ一つの状態が違うので微調整
が必要ですが、持ち主が留まる位置を調整できるアイテムができないか考えてました。
多くのトロンボーンがテーパーの不一致で同じような症状を持っているようですが、不都合
を感じる人は驚くほど少ないようです。
一応試作サンプルが出来ました。あまりに単純なモノですし、以外におかしいと思われて
いる人が少ないので、商品化するか迷ってます。ちなみにサンプル希望の人はご一報下
さい。サンプル品を差し上げます。意見を聞かせて頂けると助かります。

2014/4/25
 
 ナゴヤサックスフェスタも終了いたしました。関東サクソフォンフェスティバル共々、足を運んで
いただけた方には感謝です。
 さて、今回は知らないところでも色々と盛り上がっていたようで
何よりでした。アドルフを吹かない
といけない立場となり、しばらく吹いてもらったりしてその人なりのアドルフに対する考え方の方向性
を出してもらった上で、奏法や歴史や現代楽器との関係性などのお話しを聞いたりする機会に恵ま
れました。古い側からみた現代楽器やMPとの仕掛けなどの関係性は、興味深く聞いていただけた
ようです。
 ここで改めて気付いたのですが、ともかく吹いていただいて、ある程度ものにしてもらはないと、
その先のお話まで行き着かないのだなと思いました。例えばトランペットはヨーロッパにおいては
4000年近い歴史があります。そこには文章化されてないような決められたことや習慣なども
あるはずです。当たり前のように言い伝えられてることなどは、解っていることとしてわざわざ
文章で表さなかったりします。そんなことがサクソフォンにも有るかもしれません。古い楽器を吹く
ことはそう言ったことを探っていくことにもなるのです。新しい音楽の解釈につながったり、奏法の
弱点や今まで見えなかったことを見つけたりするのはうれしい出来事だと思いませんか? もし
お時間が取れるようなら、是非試奏しにいらして下さい。
 
 
2014/4/6

 ケノンのアルトが入荷しました。一応音出しできるようにして、4・13の「ナゴヤサックスフェスタ」に
持ち込みます。キイシステムはアドルフ・サックス氏と同じで、ネック角度も良く似ています。ケノン
と言えば金管メーカーのイメージが強いのですが、そのノウハウも受け継がれているのでしょうか、
ネック口元に「絞り」が見られます。吹き心地も良く似ており、MPの選択で十分アドルフの代わり
として使えそうです。価格が安いのが最大の魅力です。この楽器の場合修正後で20万くらいで
しょうか。今後も
1、ネック角度
2、最低音H
3、できるだけキイシステムが19世紀アドルフと同じ(ダブルオクターブなど)
を条件に、探していこうと思います。
 
「ナゴヤサックスフェスタ」ついでにもう一つ。

この画像は上からセルマーテナーで、
セルマー:シリーズⅡ
セルマー:マークⅥ復刻版
セルマー:マークⅥオリジナル の比較画像です。真ん中のM6復刻版は永らく手元に
あるのを忘れていました。この復刻版ネックを処分しようと思います。先ずは「ナゴヤサックス
フェスタ」に持ち込みます。気になる方はお声がけ下さい。
 
 
2014/3/3

 気付けば3月突入です。2週間後にせまった関東サクソフォンフェスティバルに合わせて、セルマー吸収後の
アドルフ社のアルトを仕上げました。試奏のお客さまがあったので、それに合わせる目的もあったのですが。
で、コチラの楽器ですがアドルフ社の楽器とは一線を画すモノとなっています。恐らくセルマー社としてのコン
セプトを受けたり、パーツ共通化による影響と思われるのですが、現代の楽器の吹き心地に近いものとなって
います。セルマー統一の製番と思われる番号がありますが、これが本当の番号ならモデル26の時代
(1929年製)となります。一部重複や記録されてる製番と合わないこと、108XXの後に「X」が刻印されている
など謎めいた部分もあります。さて、吹き心地に関するレポートです。

上の画像より、
左  :Adolphe Sax(1877年製)
2番目:Adlphe Sax(製造時期不明)
3番目:Edward Sax(1907~28年製)
4番目:セルマー吸収時        の、ネックです。この角度の違いが、吹き心地に大きく影響してると
思われます。内径やテーパーの違いもありますが、ネックの角度については以外と奏者側からの意見や、
製造側からのコメントが無くて、判らないことが多いです。コチラの楽器の場合、アドルフ独特の軽い管体
に重い抵抗感と、MPを咥える角度などが非常にうすれて、同時代の他メーカー楽器や現代楽器のよう
に、自由な感覚で吹くことが出来ます。ネックジョイントのサイズとデザインが僅かに違うため、ネックを
交換してのチェックが出来なかったので残念です。実際に量産して市場を出回っている機種で、ネックの
曲げ角度の違うものを作って実験してみたい想いがあります。3月の展示には持って行けるので、皆さん
の目で確かめてみて下さい。

2014/1/12

 年末年始に来られたお客さまの中で、たまたま似たような条件でSelmer MP 「Concept」 をお客様に試して
頂く機会がありました。ヤマハのYAS-875EX とYAS-82Z でした。元々音色が丸っぽくて深みがある
(暗くてぼやっとする)感じなのでどうかなと思いましたが、あまりかんばしくない結果と感想でした。Concept自体
やや丸く・深みのある音色になりがちなMPなので、楽器の音色とあいまって、暗くてモコモコする感じです。
聞いていても吹いてもそんな感じです。ところがそれぞれの持ち主のお二方共、異口同音に奏法上のことを
指摘されました。Conceptを吹いてみると音出しが少し判らないと。息の吹き込む角度もちょっと違うようだと。
この言葉は大変重要な意味を持ちます。Selmer シリーズⅢのアルトは古い楽器にあるように、やや角度を
つけて吹き込むようにすると良いと言ってまいりました。しかし、現代サックスと現代MPに慣れていると、奏法の
上では口・MPのくわえ込む角度が直線上で固定しがちです。多くの奏者にあるのですが、MPを咥える角度は
以外に皆さん固定されているようです。クラリネットみたいに角度をつけて楽器を吹くことが出来ない人が多い
です。それでもConcept は鳴ってくれます。何となく流れる息の向きは斜め下に向かうようです。つまり
Concept とシリーズⅢの組み合わせなら、今まで以上にシリーズⅢの性能を引き出せるようなのです。
先に試して頂いたお二人は楽器が違ってもそのことを証明してくれました。ちなみに875EXではぼやっとした
音色も、82Zではジャズっぽさが相殺されてクラシックぽいバランスになりました。


上図は、MPを棒にセットして、自然に息が入って行く感じのところで咥えてみたものです。
  左:ラッシャー
  中:Selmer C☆
  右:Selmer Concept
C☆とConcept は同じように見えても顔の向きが違っています。なのでラッシャー・Concept・C☆の順で咥える
角度が浅くなっていきます。S80やS90でもこの角度ができるとシリーズⅢの表現の巾をひろげられるのですが。
無理に構えなくても擬似的にこの角度に息の流れを持って行くConcept なら、同じ効果が得られます。
 この角度、案外クラシック系の人の中に出来ない人が多いです。しっかりとMPを保持しているため、それ以外
の構えが出来ないことが原因のようです。自分では柔軟に咥えているつもりでも、筋肉での保持力が足りずに
噛んでしまっている人、かなりいますヨ。

2014/1/9

 あけましておめでとうございます。今年初めての更新です(笑)。
早速年始に新しいアイテム達(工具)が入って参りました。よく相談を受けるのでちょっと変ったアイテムも試しに
入れてみました。ケースのハンドルは酷使するのでそこだけ壊れることがよくあります。内装を剥がしてケースに
つけた金具を外して金具ごと交換するので結構手間とお金のかかる作業です。ペット用の首輪を金具に通すの
が安くてまあまあ具合の良いハンドル代わりになるのですが、ひょっとしてと思って探してみたらありました。
専用の応急修理用のハンドルが・・・。

ブッシャーなどの古いケースでハンドルが無い事がよくあるので、それ用に5種類ほど流通していました。
円安で価格設定が難しいですが、FBでの反応がかなりあったので5種類とも入荷しようか考えています。
金具の部分に直接革を巻くのは少々弱そうですが、大型楽器のために金属プレート入りもあります。今回
は入れませんでしたが、取り付け金具の向きが90度回転してるもの用もあります。

取り付けるとこんな感じです。あとは価格ですね・・・。

2013/12/22


 久々の超大型更新です。おそらく1928年以降のセルマー買収後のAdolphe Sax 社のアルトが入荷しました。

トーンホール引き上げ、フロントFが付いたり、キイの分割や連携のデザインも少し新しくなっています。

一番大きな変更点はネックの角度です。上画像の右側に比べ、今回入荷のネックはずいぶんスムーズな
角度になっています。おそらくそれまでのアドルフが持っていた独特の吹奏感はなくなっていると予想されます。
反面、演奏上の操作性は飛躍的にUPしているでしょう。調べてはいませんが、管体も微妙に現代風になって
いると思われます。

そして、今回の楽器のスクープ! ネックの全長が延長された上に、上画像の黄色の矢印のところが入り口に
比べて絞られています。パパアドルフのころは時々見受けられる加工で特徴の一つでしたが、量産時に
おいては省略されることも多く息子の時代ではほぼ見られない加工です。ここが絞られてないと、使用するMP
はアルトサイズよりやや大きめで内側はテナーくらいの超ラージチェンバーのMPが必要になります。そうで
ないとオクターブ上のスケールが50セント以上高くなってしまいます。ネックの入り口が延長されるだけでも
デザイン的に絞るのと同じ効果が得られます。こうすると普通サイズのMPでもオクターブのスケールの音程が
取れるようになるのです。息子の時代ではあまり見かけたことがなかったので発見でした。
音色はアドルフからは少し外れると予想されますが、再生が楽しみな一本です。

 

2013/12/20


 あっと言う間に12月も下旬となりました。ここしばらくはアンサンブル対応や予期せぬ懸案事項の発生などで大変忙しかったです。さて画像のバスクラはネットオークションで入手されたモノの調整依頼です。一応説明文では全タンポ交換をしてあるようなことが書いてあったそうで、始めのお話ではそれを前提に調整の対応を考えてました。しかし現物を見てびっくり!サックス用のプラスチックブースターの付いた中位グレードのパットがついてました。しかも試奏した音色がセルマーどころか安っぽいプラ管のような音しかしません。コルク・フェルト類も交換されていません。恐らく前の持ち主さんがあまり修理にお金をかけたくなかったのか、パッドだけを交換する安い修理をやられたのでしょう。割れの修正がひどいやり方になっていたり、トーンホール面が修正されているのですが平らになっていたり。見た目のサビやメッキ剥れはともかくとしてとにかくひどい状態でした。ひょっとして持ち主さんはこの状態で吹いていて幻滅されて売りにだしたのかもしれません。本来なら全タンポ交換で純正か純正に沿ったバスクラ用のパッドにしたかったのですが、今回も予算の都合でパッドはこのままで出来る限りきちんと鳴るようにする方針となりました。とは言うものの分解してみた結果、割れ修正の状態がひどい上、内部側の割れが修正されてないので割れは全部やり直すことにしました。トーンホールのエッジを立て直したりポストのゆるみを直したり、キイの作動不良の修正、他メーカーのネジを無理やり使って壊れた部分の修正などをすべてやり直し、コルク・フェルト類のほとんどを交換して作動もチェックし、パッドの塞ぎ具合をやり直してバランス調整まで約3日。出来上がって試奏してみるとあら不思議、セルマーのバスクラの音色がします(笑)。セルマーのバスクラなのでセルマーの音色が出て当たり前なのですが、ここまでの苦労が報われる瞬間です。以前からネットオークションの全パッド交換済には要注意だと思っていましたが、調整具合の状態は出品側にも落札側にも素人にはわかりにくいので困りものだとつくずく感じました。
 夏ころに高校のバスクラを調整した時も、原因のわからない吹きにくさや変な音色に苦労させられました。今回もそうですが、バスクラの割れは思った以上に音色に影響するのかもしれません。ましてや割れからの息漏れはもっての他なのだと思います。

2012/11/11


 先日の修理でEbクラの全タンポ交換いたしました。よく見かけるヤマハYCL681Ⅱです。今回パッドは純正のフィッシュスキンパッドを使いましが、良くなるのなら多少実験的なこともやらせてもらっていいと言うことで、以前からやってみたい方法を試させて頂きました。その結果は驚くべきもので、音程は良いまま劇的に良い音色になりました。この音色なら合奏の中で埋もれることなく、嫌味な感じでもなく、のびやかなEbクラの響きを得られると思います。何となく太目のボヘーと言う音色に悩まれている方にはお薦めです。クランポンのような透明感ある感じになります。

そして、本日の展示のようすです。今回は関係者向けの展示でしたが、次回からは一般の人も出入りできるかもしれません。一般参加がOKになると試奏の機会が増やせそうです。

2013/11/5

 先日、コントラアルトクラをアンサンブルの中でどう聞こえるか確認して来ました。樹脂製とは言え、良い響きをしていました。メンバーに聞いてもらっても、少し離れて聞いてもらったりしても、樹脂製とは思えない響きで、指摘されても分からない感じでした。吹く方としても使いにくい部分はあるにしても、音程や操作性を含めてあまり問題ないと言うことでした。個人的には音量だけで言えば、プラ管の方が大きく聞こえると思っています。細かなニュアンスの必要な場合にはセルマーのコントラアルトクラのローズウッド製にはかなわないでしょう。それでもこの樹脂製なら音量はもちろん表現のニュアンス分けもある程度可能だと思われます。夏場の高温下が少し心配ですが。頑張った調整のおかげでしょうかネ。

2013/10/12

 3週間も空いてしまい、申し訳ありません。そして今日は金管のお話しを。

画像は、トロンボーンのMPとマウスパイプです。トロンボーンのマウスパイプは他の金管楽器と違い、MPシャンクの差込部分とマウスパイプが一体で出来ています。他の金管では1から2のMPのシャンク部分はしっかりとした肉厚のあるパーツ(レシーバー)で別に出来ていて、2から3のマウスパイプ部分が半田付けされます。

そしてこのように、マウスパイプはスライドの内管の中に入ります。スライドの内管は手で支える支柱部分(レシーバー)に挿入されますが、マウスパイプの細くなっている部分は空間が空いたままになります。TbのMPにはアメリカンシャンクの太管・細管(いづれも5/100)が定番ですがそれ以外にも、レミントンシャンク(4/100で太め)と、ジャーマンシャンク(4/100中細管が多い)とあります。こんな薄いパイプにシャンクの角度の違うMPを挿入すれば、一発で変形してしまいます。また変形しないものの長年使っていると、段々と奥に入るようになってきます。昨年から今年にかけてこれらが原因と思われる、「発音しにくい」「何となく吹きにくい」といった相談が3人の人からありました。特にバストロはドイツ系のMPとの相性がいいせいか、アメリカンシャンクのMPを入れてもガタガタで定まらないものがありました。定番と言われる機種を別々でオークションにて購入したにも関らず、その2本が同じ症状でした。MPのバックシャンクの形と、マウスパイプのテーパーの形がつながるような位置で定まってくれる必要があります。これはTPでは比較的知られた知識ですし、Hrではドイツ系とアメリカ系のMPの違いについてカタログに書かれていたりします。Tbでは知っている人が少ないのか、知っていてもそのまま使ってしまおうと言う人が多いのかわからないところです。世の中に多く出回っているTbの中古の多くがこの問題を抱えているかもしれません。ちょっと吹きにくい中古Tbでも、選定品くらいの「当り」楽器に生まれ変るかもしれませんね。
右:アダプターのみ¥1500円(税・送料別)
 そうゆう訳で、エルクハートコーンの88H用に細管MP→レミントンシャンクのアダプターを入荷いたしました。古いコーンで今一反応が悪い場合はレミントンシャンクのMPかこのアダプターを試してみてはどうでしょうか。

2013/9/22

 http://www.pipers.co.jp/index.html
 パイパーズ386号にて、少しだけ資料協力させていただきました。長年の謎に大きく踏み込んでいただいて
おります。是非お求め下さい。また、Adolphe Sax社の謎の楽器は試奏いただけます。サックスとは思えない
Bbクラやアルトクラのようなキツイ吹奏感ですが、不思議と気持ちが良いです。クラ吹きの人に「ビブラートの
かかったバッハは止めて欲しい」と言われましたが、この楽器達なら極自然な歌い方だけで演奏できそうですヨ。

2013/9/8


 「光陰矢のごとし」と言いますが早いですと、言い訳にならない言い訳をしつつ(笑)、久しぶりの更新となります。コンクール対応の中、先日より大型クラの対応が色々と入っています。画像のコントラアルトクラもその一つ、中古の入荷です。普通、コントラアルトやコントラバスクラはパリのセルマー社のものを使うのを善しとする風潮があります。ただケースバイケースだと思います。細かなニュアンスの欲しいときはセルマーですし、大きな音が欲しいときにはルブランの金属製の楽器がいいと思うのです。これは私的な意見ですが、意外なことにプラ管の方が音量は大きく開場に届くようです。同じ音量ならセルマーやルブランの方が音色が良いです。しかし、合奏やアンサンブルで開場のお客さんの耳に届くことや、その合奏の中でのバランスを考えた時には、プラ管の方が聞こえるようなのです。そして、セルマーUSAの音色は、プラ管の楽器としては一番良い音だと思っています。コントラアルト指定の楽曲では、機動性のある旋律を吹くことがあると思います。これをコントラバスで吹くと、楽器の大きさや機動性から結構苦労すると思うのです。コントラっぽいバタバタした音色をさせながら旋律や副旋を吹く時は、やはりコントラアルトの方が合っているのです。プラ管でもきちんと・きちんと調整されていればそのように吹けます。ましてや「聞こえてほしいときに聞こえる」ことを考えると、実はセルマーUSAのコントラアルトは実用性が高いと思うのです。単独で聴くとややプラっぽく聞こえますが、冷静に聴衆として合奏を聴くとそれほどプラ管の音は気になりません。むしろ聞こえてくるのでバランスが取りやすいと思うのですが。もちろんケースバイケースなので、ニュアンスが欲しい時にはパリのセルマーを使うなど選べばいいと思います。しかし残念ながらセルマーUSAのコントラアルトは新品での入手が難しくなっています・・・。

2013/7/8

 安い木製バスクラを1本確保できそうです。
ところで、最近の某アジア製のバスクラは、他の楽器同様進化しています。以前はLowC では
ヤマOタイプしかありませんでした。一昨年あたりから、セOマーやビュッOェタイプもでてきました。
昨今吹奏楽やアンサンブルの編曲では、LowC 前提のことが多いようです。きちんと使えて良い
音色のするLowC は、メーカー品の100万を超えるヤツしかないと思っています。ただあまりに
高いので、安くて使えるものはないか探っていました。某国製のLowC が出始めののころに1本
触ったことがあります。中々の出来でバランスをあわせたら、何とかなりそうな感じでした。一応
国内に販売元のあるところですが、最新型はセOマータイプと言うことなので、試しに仕入れて
みようと思います。結構工場の受注数が多いらしく、2~3ヶ月待つそうです。ちょっと楽しみが 
増えました。ジャズでもバスクラを使いたい人が多いので、ジャンルを超えて使える楽器だと
いいなと思います。

2013/6/12



 バスクラのお問い合わせをたくさん頂いており、ありがとうございます。おそらくは本体が木製でお値打ちな
中古品を皆様お探しなんんだと思います。10~20万くらいの予算が多いので、事実上ノブレしか選択が無い
のだと思われます。(運が良ければルブランがあるかも) 最近国内でも入手が難しくなっており、海外でも探
していますが、海外ではノブレ・ルブランの木製はもとより、古~いクランポンやセルマーも大変人気があって
国内より高い価格が付いています。上の画像は国内某大手メーカーさんの学校備品の修理です。最低限、
パッドが閉まるようにしました。単独で聴く限り木製か樹脂製かはっきりとはわかりません。今までに何本か
樹脂製バスクラを調整しましたが、木製に比べれば音質的にやや劣るものの、決して引けを取るものではない
と感じました。樹脂製バスクラの評価が低い理由は、キチンとパッドが塞がっていないことからくるバランスの
あまさが原因だと思います。キチンと塞がってないと、良い響きが得られません。どこかがあまいから吹きにく
かったり、安っぽい響きが強調されたりするのだと思います。例えば、白い三角の紙がはさまっているところの
下側の半分が、一応塞がってはいるのですが、上側の半分にくらべてやや軽いです。それだけのことで、全体
の響きが損なわれるのです。そこできちんと調整した結果、音色・バランスなどがまあまあ良かったものを
上げてみようと思います。

ジュピター  BC675   やや軽めではあるものの、MPを選ぶことでバランスの良い響きが得られます。
               吹き心地も良い感じです。「バスクラを買うなら最新型を買え」と言うことばが
               あります。樹脂製バスクラの中ではかなり新しい設計なので、お薦めです。
Cello&Coo BCL-4   樹脂製としては響きの良さを持っています。何より最低音がLowC なので、
               対応できる曲が多いです。また全長が伸びた分重量が増えるので、それが
               音色に乗っかり、響きに良い影響があるようです。もう一つ、オクターブキイが
               ネックと本体で切り替えられるので、チューニングBbのオクターブ上の「ド」の

               音が出にくいと言うことはありません。他の大手メーカーさんのバスクラには
               無いので、これはLowC 以上に魅力的です。
YAMAHA  YCL221  さすがに安定の楽器メーカーさんです。この楽器の評価が低いのは100%
               調整の性です!あとはMPを選べば、吹きやすく良い響きを引き出せます。
SelmerUSA 1430P  高密度プラスチック材のおかげで、非常に良い響きとバランスです。この楽器も
               調整が今一のために評価が低くなり気味です。話しは反れますがアルトクラも
               このメーカーの樹脂製なら、まあまあの性能を持っています。

 繰り返しますが、調整がきちんとしていることが前提です。大きな楽器ですが、おどろくほどデリケートな
調整が必要なのです。もちろん木製バスクラの隣で吹き比べてしまうと、音色の違いはわかってしまい
ます。性能と音色をきちんとするなら、高くてもクランポン・セルマー・ヤマハの木製を買うべきなのです。
樹脂製バスクラの例をあげたのは、あくまでも選択の一つとして考える参考になるかなと思うからです。
何人か買ってくれるお客様がいらっしゃれば、上記の中古をキチンと調整して準備出来るのですが。残念
ながら吹き比べのためだけに準備するほどの余裕はありませんので、申し訳ありませんがご了承下さい。
尚、ノブレ・ルブランなどのお値打ちな木製バスクラは引き続き探していきます。UPを気長にお待ち下さい

2013/5/20

 季節がすぎるのは早いもので、もう五月の下旬となってまいりました。ここの更新、結構サボってますね(笑)。
いや、笑い事じゃないです。学校の新学期対応に追われてアップアップなのが実情です。とは言いつつ、
今週末は下記のイベントに顔を出してきます。
http://blogs.yahoo.co.jp/shin_ich/61938754.html
「 全日本ヴィンテージサクソフォン同盟 プチ祭り 」
古ければ何でもありと言いつつも、せっかく立ち上がった団体なので飲み会を・・・もとい、イベントをやりましょう
と言うことで、顔あわせ的な意味合いも兼ねて、昨今話題になっている19世紀サクソフォンからの流れを
トレースするイベントになりそうです。せっかくなので私しめも、試奏可能なものを持って行ってみようかと
思います。イベント後は親睦会もありますので、お時間のある方や、親睦会だけでもとおっしゃる方も
顔をのぞかせて見て下さい。結構濃~いメンバーが来そうです。

2013/4/25


 古いサクソフォンではよくあるのですが、一部の音でその音を伸ばすと自然にビブラートがかかったようになることがあります。通称「ウルフ」といってますが、音と言うのはベルから出て行く方向以外にMP側にも戻ってくる波があります。出て行く波と戻る波がぶつかりあった時に、微妙なズレがあるとウルフ音となって出てきます。前回も同じ音で発生したので、放物線状の管体を持った楽器では出やすいのでしょうか。そういえばデイブガーデラのアルトでも右小指の低音「ド」で発生したことがありました。さすがに現代楽器ではそれぞれのメーカーで研究やノウハウの蓄積が進んでウルフが出ることはめったにありませんが、古い楽器ではよくあります。古い楽器特有のMPの咥える角度は、このウルフを押さえる効果があります。今回は奏法では解決できないばかりか、演奏不能なほどのキツイ波となってしまったので、物理的な解決法をとりました。ウルフの発生する音の次の開放トーンホールなどの位置をズラして、波どうしのぶつかるところの位置をズラして、音程を変え、ウルフの発生を抑えます。残念ながらあまりにはまりすぎていて、4mmズラしただけでは押さえ切れませんでしたが、それでもだいぶマシになりました。これ以上は管内に消しゴムやコルク栓を入れたり、内径を変える為にコルクを張ったり真鍮版をハンダ付けしたりしないといけません。管体デザインは音色をつくるのに重要なのでそこまではやりたくありません。今回は画像のコルク張りまでで終わらせました。この処置には副作用があって、トーンホールの発音体からの距離が変るので、音程が上下します。つまりどうしても音程を変えたい場合、簡易的には可能なのです。もちろんオクターブの関係や、倍音による音程の乱れも出てくるので必ずしも有効な方法とは言えません。「劇薬に付き取り扱い注意」なのです。

2013/4/1


 いつの間にか、4月に入ってました(笑)。3月には関東サクソフォンフェスティバルにて展示をさせて頂きました。開場の方では19世紀から20世紀に至るまでの現物の楽器を使ってのステージがありました。残念ながらステージを見ることは出来ませんでしたが、大変好評だったようです。
 金管楽器やトラヴェルソ・古典クラ・バロックオーボエなど、当時の楽器を当時の考え方に基づいたMPなどのアクセサリーを使い、当時の奏法や習慣などを取り入れた演奏の研究が進んでいます。クラシックサックスも短い歴史とは言え、時代による違いが存在します。今回のステージでは楽器だけでなく、MP・奏法(音色)もふくめたトータルで、時代を追ったサックスの歴史を実際に耳にできました。聞いた側の人にとってはかなりの衝撃だったようです。
 一方で別の課題も見えてきました。こうした課題を一つ一つ検証しながら話し合わないといけないのですが、話し合うためのベースとなる歴史観などが共有できていないと言うことも新たな発見でした。バックグラウンドは楽器だけに留まらず、奏法や音楽の流行、歴史的な出来事、工業的な背景、時には政治や国による文化の違い、宗教や芸術の流行と言った幅広い知識が必要となります。サクソフォーンの発明者Adolphe Sax にしても、金管から木管まで楽器製作のスペシャリストなので、サックスの構造を見るにも金管の歴史や製造方法の知識などが必要となってきます。こういったことに興味を持つ人が増えることで、古楽器としてのサクソフォーンがより深く理解されていきます。古楽器としてのサクソフォーンの探求はまだまだ始まったばかりなのです。
 別の課題については、他の楽器では理解されていてもサックスを吹く人にとっては理解できないことや、そのために見解の分かれることがあったりするのでここではまだ書ける段階ではありません。方向性が見えるまでは今しばらく話し合いや交流をすすめたいと思います。

2013/2/15

 ひさし・ひさしぶりの更新です(笑)。
3月3日は「関東サクソフォーンフェスティバル」企業ブースにて、Adolphe Sax社ほかの展示ができそうです。今回は
ステージで雲井先生によるAdolphe Saxから現在までの楽器の変貌を目と耳で確認することができます。実際に
手にとって吹いてみたい方はブースにいらしていただくと試奏することができます。以前から言っていますが、
アドルフは吹いて体験してみることでその存在価値をご理解いただけると考えてます。アドルフを体験いただいた方
からは、そのすばらしさから、常に吹けるよう手元に置きたいと言われる方が出始めています。正直、状態の良い
楽器は入手困難なのと、MPとの兼ね合いや価格など、ハードルが高いです。チャンスをお待ちいただくにしても
つなぎとなる楽器でもいいから欲しくなるのは人情なのかもしれません。そんな方にはBuescher TrueTone を
薦めています。くわしくは
「Buescherはじめました」を見ていただくとして、実際チャンスがあれば3万前後または
お薦めのモデルだと5~10万位で入手可能だと思います。吹けるようにするためにはそれなりに費用が必要です
が、アドルフをきちんと体験いただいた人には、こちらで行わせていただいているアドルフを強くイメージした修理・
調整とRascherマウスピースで、Adolphe Sax社の楽器を入手するよりはるかに安価に楽しまれています。むしろBuescher TrueTone の方が実用に近く、音程は基準ピッチも各音も十分許容範囲で扱いやすいです。ただ、
業者を通じたルート、特に海外では、Buescherの評価が日本と違って高いため、入手価格が高いのが実情です。
国内オークションはともかく、海外オークションの場合はご依頼を受けて、修理・調整まで含めての対応を検討して
いますので、ご相談下さい。
 4月7日の「ナゴヤサックスフェスタ」企業ブースにも展示が決まっております。こちらもMP販売するので足を運んで
いただけると幸いです。Buescher についてはそれぞれの会場で直接ご相談下さるのもいいかもしれません。それ
ぞれの会場には調整したTrueToneも展示する予定なので現物を見ながらご相談できます。またメール等、
質問や相談だけでもお気軽にお問い合わせ下さい。

2012/12/12

 この楽器を調整します。ネットの情報通り、低音でウルフが出てしまいます。サブトーン気味に息圧をかけることで無理やり押さえ込むことは出来ますが、演奏中では難しいかもしれません。原因は2つほど考えられます。一つはトーンホールの位置です。管体のテーパーの拡がり方と、トーンホールによって息の流れや振動により基準音以外の振動が干渉する場合は、ウルフを止められません。もう一つはトーンホールからパッドまでの開き具合です。右手人差し指の開きがこの楽器の場合6mmしかありません。ここを8mmくらいの開き(せめて7mm)にして、左手も5mm以上にできると、全体の吹奏感と音程もよくなると思うのですが。構造上あまり無茶なことはできませんので、できる範囲で手をつけます。

スプリングワッシャーをスペーサーとして入れることにします。スプリングワッシャーの切れ目部分の段差をなくして左画像のように瞬着で仮止めします。分解組み立て時は画像真ん中のようにコイルスプリングを無くさないよう気を付けます。右画像のように挟み込むことで約1mm開きをかせぐことができました。



右手小指のLowCキイのカバーにも同じ細工をして開きをかせぎました。右手は元々付いていた黒いスポンジを取り払い天然コルクにした上で、ペーパーで削って調整しました。しかしF#キイが反対側のキイに当るため画像真ん中の基準キイを6.8mmにしかできません。それでも全体の開きを拡げれたので、少しですがウルフの解消に近づきました。Lowキイのカバーについては、今回は構造上1mmしか追加できませんでしたが、挟み込むスペーサーの形を工夫することで、5mmくらいは拡げられそうです。右手も、キイの一部を削ることで何とかなりそうです。解決の糸口が見つかったのでよかったです。

 ネックオクターブキイももう少し開きがほしいのですが、構造上あきらめました。
2つのシーソーが重なっていますが、それぞれのシーソーの長さを変えることでしか開きの距離が変えられません。今回は0.5mmのコルクを張るだけにしました。
 何となく解決の糸口が見えてきたので、いずれ試してみたいものです。
追伸、具体的に書きましたが真似をして作業しないで下さい。この結果を保証するものではありません。また、本体が
    プラスチックのため、ネジ止めのちから加減がむずかしいので割れを起こしかねません。仮に破損してもこちらで
    責任はとれませんので、自己責任となります。
                                                    

2012/11/24


 久しぶりの更新となります(すみません)。アドルフを吹かれた方から、ブッシャーの調整依頼を頂くようになりました。アドルフよりはるかに安く流通しているので代わりの楽器として入手されているのです。対象となるのは「TuerTone」のアルトに限ります。パパ・アドルフに比べればエドワードの楽器さえ大変な進歩ですが、ブッシャーになるとほぼ現代楽器と言えます。特に最後期のシリーズⅣと呼ばれる製番20万代になると、HigeF#はないものの他のキイは運指上現代と同一になります。G#キイが扱いにくいですが、それでも一つ前のモデルにくらべると動かし安くなっています。見本で見ていただいた方も多いと思いますが、各展示で並べさせてもらったあの見本のブッシャーが理想的です。管体形状が20世紀に入ったアドルフ社のカタチに準じているのにキイの操作性が現代っぽくなっているからです。アドルフと比べると、案外普通に吹けてしまいます。アドルフの吹けなかった方でもブッシャーなら吹けると思われます。ブレスコントロールを忘れても音がでるからです。しかし、所々アドルフの奏法でないと音が安定しない所があります。奏法のチェックにはTrueTone の楽器とラッシャーのMPの組み合わせはコストパフォーマンスが良いです。ブッシャーを吹いたことある方はジャズのイメージや、吹きにくいイメージを持たれている方が多いかもしれません。それは調整が不十分なことが多く、ややぎゅっと押さえながら吹いているイメージからきてるかもしれません。きちんと調整された楽器は意外なほど素直に従順に鳴ってくれます。サテンシルバーがお勧めですが、それでも重くなく鳴ってくれます。もっともその奥がある感じで余裕があるのですが。シガートラッシャー氏は最終的にはブッシャーのアリストコートを使われていたようですが、アドルフの音色を追い求めたことに変りありません。よりアドルフに近いのでトゥルートーンをおすすめしてますが。
 きちんと吹けるようにするためには相当な調整が必要になります。楽器が安くとも調整は価格的にちょっと覚悟が必要です。また安い楽器にはそれなりに理由があります。新しくとも80年ほど経っているので精度の悪さや度重なる修理跡など元にもどすのが大変な上、現代の緻密な調整が出来るように下準備するのがとても手間のかかる仕事となっています。そんな訳で調整料金は高くなりがちです。画像の楽器は販売用ですがケース/MPをつけると14万くらいになります。それでもアドルフよりはるかに安く体験ができると言う事で一度試奏してみる価値があると思っています。(画像の楽器は商談中となっていますので残念ながら現時点で販売できません)

2012/10/30


完成しました。奥のキレイな方です。意外に普通に吹けるようになってしましました。表面は磨いただけなので、そのうちクスンでくるでしょうが、現状手前のサビびている方が落ち着いた良い音がします。現代でもノーラッカーの場合、楽器の種類に関らずサビている方がいい感じの音がするので同じことなのでしょう。もう一本も同じようにしたいのですが、予想外にブッシャーの問い合わせが多いので、そちらを何とかすることを優先いたします。

2012/10/2


 10月に入りました。修理に余裕があるので、在庫の整備に着手しています。仕事の途中途中に手をつけるので、中々すすみませんが。まずは、画像の1877年製アルトを吹けるようにします。オリジナル同様、白色のパッドでやってみる予定です。現在、父のジョセフ時代のアルトは2本ありますが、こちらの個体の方が評判がよいので、完成が楽しみです。もちろん販売しますので、欲しい方は是非ご一報を(笑)。「そんなことより自分の楽器を調整して」と言う方、もちろん受け付けております。ご相談下さい。

2012/9/18


 この楽器、Selmer のシリアル8000番代です。時代的にはModel26ですが刻印が無いのでもう一つ前の型かもしれません。音程補正の依頼でした。本来かなりのラージチェンバーMPで奏法も工夫すれば音程が収まるはずなのですが、現代のMPを使って音程を収めたいとのこと。結果、もとに戻せない状態に改造せざるおえませんでした。金管のマウスパイプに当るものを作って交換し、改造されたオクターブチューブを再生して、部分的に収まりの悪い所はトーンホール位置を擬似的に変えるような処置をしました。下の音域に対して、オクターブ上の音域が50セント以上高かったのは、許容範囲内に収まりました。一部奏法を工夫しないと音のひっくり返るものがありますが、仕方ないということで・・・。こういった改造には賛否両論あると思います。現代に使えないのでは楽器としての意味が無いので、多少の犠牲があっても使えるようにしたいと言うもの。当時は問題なく使っていたはずなので、MPなどを合わせて奏法を工夫して吹くと言うもの。自分は後者の立場です。音列をいじればニュアンスとしての音色感は残りますが、やはり違う音色になってしまいます。435Hzだとどうにもなりませんが、440Hz辺りならなんとかなるので、オリジナルを壊すことなく使えるように工夫してほしいと思います。

2012/9/16

 久しぶりの書き込みとなってもうしわけありません。修理などいくつか難題があって、あたまを抱えています。あまり売り上げに直結しないので、まさに貧乏ヒマなしです。何となく次回の展示などを見据えた準備なども考えていますが、アドルフ社の楽器については今まで同様、吹いてみること、慣れること、が基本に変りありません。吹いてみるチャンスがあれば、是非挑戦してみて下さい。来月は岐阜で行われるコンサートにちょこっとお邪魔させて頂くことになりました。トップページの「お知らせ」に書いた通り、ご興味の持たれる方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

2012/8/15

 珍しく24時間以内の更新です。世の中はお盆休み中ですが、皆様どうお過ごしでしょうか。
前回更新に引き続き、修理ネタです。facebookの話題で登場したBuescherアルトのお話です。

 画像のブッシャーはアドルフ社の楽器の流れを説明するために入手したものです。現代サックスをシビアに調整する方法を取り入れて、割と吹きやすく出来上がっております。ガス・ブッシャーはコーン社の工場長時代、アメリカではじめてサックスを試作したと言われています。はじめに作られたのは、アドルフのコピーだったと言われています。その後コーン社はサックスの販売をします。すぐにジャズやダンスミュージックなどの流行に乗っかって会社も発展していきました。独立したブッシャーはどう言う経緯かはわかりませんが、19世紀サックスの管体形状を発展させる形でサックスの製造をはじめました。その後シガート・ラッシャーのサクソフォンへのアプローチと合間見える部分もあり、彼が使用することで有名となりました。
 ブッシャー社の「トゥルー・トーン」モデルは、19世紀サックスの流れを組んでいます。純粋な流れとしてではありませんが、アドルフ・サックスの息子のエドワード時代のサクソフォンの形状の改良版といえるでしょうか。アドルフ社の楽器の音色は素晴しいものがあります。しかし、音程はヒドイものです。そのアドルフ社の音色に比べると一段劣るかもしれませんが、「トゥルー・トーン」モデルでは音程などほぼ問題ありません。ブッシャーのMPやラッシャーのMPを使う必要がありますが、Y社さんと比べても決して引けを取りません。特に製造番号20万代の「トゥルー・トーン」だとハイF#キイは無いものの、フロントFキイもあるので、現代楽器同様に扱うことができます。
 さて、この度ブッシャー社「トゥルー・トーン」のアルトのラッカーの全調整を承りました。ご依頼者さまの楽器の使い道を考えると、ある程度ストレス無く吹けるところまで調整をしますが、この楽器が持っている古楽器としての側面を前面に出す感じで仕上げようと考えています。一応、下準備の一環として、画像の楽器を使って具体的にどんな方向で調整するか実験してみました。そこで発見したこと。調整の方向によっては、ビックバンドの中で使えるほどの音量も出せるし、細かなニュアンスを表現できる楽器であることがわかりました。考えてみれば、有名バンドでも使われていたわけなので、当たり前ではあるのですが。反面、クラシックサックスで使えるような表現の巾の広さや、アドルフにも繋がる音色感もかもしだせる楽器であることを再認識しました。何しろ、フルートのPより小さな音で演奏できるのです
。こちらも考えてみれば当たり前で、シガート・ラッシャーはこの楽器の次のモデルでグラズノフのコンチェルトなどを初演したのですから。ちょっと楽しみな修理となりそうです。アドルフ社に手が届かないけどと言う人には、おすすめの楽器です。

2012/8/15

 大きな声で言えないネタを一つ。私は管楽器の輸入商社にいたことがあります。いくつかの海外メーカーでは、日本向けとその他で出荷を分けています。理由は日本の市場で品質管理が厳しく、楽器としての性能を満たしているのはもちろんですが、仕上げの不備やキズなどを極端に嫌うからです。そんな訳で具体的な内容は知識としては知ってました。その後、販売店で販売と修理などをやっている時に、並行輸入された管楽器をさわることがありました。安かろう悪かろうの大量生産品も一つ一つのパーツの作動や位置関係の確認みたいなことからやるのですが、高級楽器でも並行輸入の場合は同じなんです。キイは動けばいい、キズがあっても音色には関係ない、メーカーが仕上げて出荷しているのだから問題ないと言うわけです。しかし、実際のところはひどい物もありました。正規に輸入されたものは輸入元で日本人の好みにあうように調整されます。バネの強さとか海外の人とはちからが違いますから。ところが、並行ではキズやキイの動きといった基本的なこと意外にも、そういった細かな違いが調整されてないので大変な作業となります。正直、よほど信用の置けるお店でしか並行輸入の楽器は買ってはいけません。その後のメンテナンス料を考えると、楽器によっては正規の方が安いこともありますから。
 先日、海外でくらしている方から、現地で調達した楽器の調整を承りました。案の定、上記の通りです。品質チェックから始まり、バランス調整、バネの強さなどをやり直しました。それでも試奏してみて今一つ、腑に落ちません。色々やってみて調べてみて、新品にはありえないボンミスを発見して事なきを得ました。並行輸入の品質チェックは、販売元だからできるのであって、購入後に個人で同じように仕上げてもらおうとすると結構料金がかかります。
 ひさびさの作業でした。

2012/7/28

 「ブラストライブ」に続き、「ザ・サックス」にも「江古田サックス祭」の記事が載りました。こちらにもチラリと姿が映っております。それにつけてもアドルフ社はじめ19世紀サックスの、魅力や価値やバックグランドなどを言葉で説明する難しさに、かさねがさね苦労いたします。試奏していただいても、ほんの入り口しかお伝えできません。真剣に今までご自分が経験してきたサックスの奏法や音楽やレッスンや雑誌記事の言葉をフル動員した上で、冷静に自分自身を判断しつつこれらの楽器と向きあってもらう必要があります。奏法や音色などの本当の価値を見出していただくには、2~5時間くらいの試奏を3回くらいしてもらわないと、わかっていただけないかもしれません。どうにか市場で出回っている楽器に、アドルフ社のエッセンスを持つ楽器がないか探しています。2つほど候補があります。しかし、アドルフ社の楽器を吹き込んでもらってそのエッセンスを感じてもらわないと、候補の楽器に生かせないと言うジレンマがあります。ココの部分に良いアイデアが見つかるといいのですが。

2012/7/24

 ここしばらくは、コンクールや定期演奏会対応の修理で手一杯でした。そんな中、左画像のような演奏可能状態のパパアドルフ時代のアルトが入ってきました。MPを選びますが大変よい音がします。このまま販売するか、もう少し調整して演奏しやすくするか検討中です。前に入荷した同様のアルトも早く直したくなりました。
 右の画像はブラストライブ最新号です。江古田サックス祭りの記事が出ており、はずかしながら顔出しで紹介されていました。買って読んでいただけるとうれしいです。
 長期休み目前です。試奏希望の方、お待ちいたしております。渋滞をある程度さけられれば、試奏のために出かけていってもいいかなと考えています。いつも言っていますが、この楽器は吹いてこそ、その価値が見えてきます。吹き込んでこそ、その奥に広がる世界が見えてきます。吹いてこそのこの世界を体験していただきたいと思います。

2012/7/9

 普通、今ごろの修理人はコンクールを控えて忙しい時分です。しかし、ほぼ楽器店さまを中心にお取引をさせていただいている私めは、ひと息ついている状態です。中高の期末テストも終わり、いよいよコンクールまで秒読みとなった現在、よほどの緊急でない限り修理より練習時間を優先せれることも多いのでしょう。と言うことで、最近では定期演奏会やリサイタルにも足を運ぶ余裕があります。やはり、生の音楽は良いものですネ。その音の良い響きが調整に生かされたりもするのでしょうか。その辺りはわかりませんが、決して悪いことではない気がいたします。そうそう、アドルフ社の試奏や、楽器の修理・調整もちゃんと受け付けています。ご希望の方は先ずはご相談ください。メールでも直接お電話でも、お待ちいたしております。

2012/7/2

 しばらく前にセルマーの工場を見学された方のお話をお聞きしました。工場で働く職人達は、アドルフサックス社をセルマーが吸収したことから自分達はその後継者としてがんばっていかないといけないと言う気概を感じたそうです。シリーズⅢの開発コンセプトにはきっとそんな思いも盛り込まれているのでしょう。マーク6に似ている部分もありますが、それだけでは腑に落ちない所がありました。シリーズⅢのデザインにはアドルフサックスを感じさせる所がありました。理想の音色を求める中で、色々な楽器の研究成果が盛り込まれ自分達で昇華した結果がシリーズⅢなのでしょう。そう考えるとシリーズⅢの見方が少し変ってきます。人によって評価や感想の分かれることのあるシリーズⅢはより深く付き合っていく必要があります。そうすると、そう言って分かれた評価や感想がすべてシリーズⅢにはあてはまる楽器なんだとわかってくると思います。吹奏感が重いと言う人、軽いと言う人、音が明るくて軽めと言う人、木管らしいまるい音と言う人。それらはシリーズⅢのそれぞれ一面を捉えたにすぎず、実はすべてを兼ね備えた楽器だと考えてます。ものすごく色々な表現ができるからこそ、自分の音楽や奏法の範囲でしか感想が言えず、人によっては分かれた意見がでたのだと思います。それほどに広い表現能力を持つシリーズⅢを、アドルフから見て言うと、現代作られている楽器のなかで、最もアドルフに近いコンセプトと最新の音楽の表現力をあわせ持った楽器と言えるかもしれません。あなたのもっているシリーズⅢも、もっと多くの音楽表現を手助けしてくれる何かを隠し持っているかもしれませんよ。ヒントはアドルフを吹くところに隠されています。

2012/6/17

 江古田サックス祭りでは主催者さまはじめ、出演者、聴きにいらした方など、大変お世話になりました。あらためて、お礼申し上げます。特に雲井先生には色々お話がお聞きできて、ありがとうございました。本当にすばらしいステージを生で拝見できたのも、うれしい限りです。http://www.youtube.com/watch?v=LLDMgM8-saQ&feature=relmfu一部公開されているのでご覧下さい。
 一週間近くたってから、この場でサックス祭りのことを言葉にするのは、色々考えさせられることがあったからです。もちろんすぐに役立つことや、アイテムを入手することで進むことのできることなど、実践できることもあります。しかし、もっと根本的な部分で「音楽とは」と言うようなことを考えさせられたのです。この辺りはまだ言葉としてまとめられていません。まとめられないかもしれません。それでも、「音楽ありき」であり「音楽とは」と答えを出した人達を前にして、自分の存在を揺るがされました。アドルフ社の楽器の音をもっと知ってもらいたい。そんな思いから始まった活動ですが、この楽器を吹くにはもっときちんとした覚悟が必要なのかもしれません。ちょっと逆説的な考えかもしれませんが、そんな覚悟を持った人達があらわれてくれるためにも、もっと入り口が低くあるべきかもしれません。多くの人にアドルフの楽器を体験してもらって、持って演奏する人達が表れて、きちんと向き合う人がでてくると、サクソフォンの音楽世界がもっと拡がるものと思います。古楽器はオタク的分野であるかもしれないけど、古楽器の持つ素朴な音色自体を楽しむところがあります。アドルフの楽器もそんな感じで楽しんでもらえるように広がるとイイナと思います。
 アドルフ社をはじめ、19世紀サクソフォンのMPについて、雲井先生から助言を頂きました。当面は、条件にあったMPを探そうと思います。現物を入手するか、近いMPを改造するか、とにかくオリジナルを踏まえたものをそろえたいと思います。ラッシャー派の根本にあると思われるアドルフタイプの音色を踏まえた上で、ラッシャーマウスピースを使って頂くことも、歴史や奏法の違いをつけるようにしながら薦めていきたいと思います。
 それにしても、アドルフ社の楽器を触っているからこそ、雲井先生の演奏の凄さがより身にしみる催しでした。公開されている模様をご覧下さい。楽器自体の音色は、きちんと練習していけばそれらしく鳴るようになります。それをご自分のものとして、さらにその音色に合う音楽を、ご自分で表現したいようにテクニックを昇華させた先生の演奏は、本当にすばらしいものだと思います。

2012/5/31

 お知らせです。アルト用テナー用ラッシャーマウスピース入荷いたしました。6/10の関東に持って行けそうです。
 先日までにセルマーのアルトをお持ちのお客様3名別々に、アドルフの試奏をしていただけました。今回はある程度確証を持って奏法の対応をさせていただけました。以前からシリーズⅢのアルトのカタログや書籍などの評価と、実際の音色に違和感を持っていました。木管らしい柔らかな音色と言われますが、自分にはシャーシャーした鋭敏な感じに聞こえていました。しかし、シリーズⅢの開発コンセプトを読み解いたところから、もっと違う音色がするのではないかと考えてました。アドルフの奏法を基本にいくつかポイントを押さえながらセルマーを吹いてもらうと、想像以上の効果をあらわしました。特にシリーズⅢの音色の変化は聞いているコチラだけでなく、吹いている本人にとってもそうとうな物のようでした。正に木管楽器の音色であり、開発コンセプトの一つにあるような非常に細やかな表現のできる楽器となりました。シリーズⅡでも違いが現れました。
 もしシリーズⅢのアルトに、音色・音程・表現方法などの不満があれば、ひょっとしたら楽器自体やMPやリードといった仕掛け意外の部分で改善できるかもしれません。チャンスがあればアドルフ社の楽器を吹いてみて下さい。

2012/5/24

 サクソフォンにおける古い奏法、現在の奏法の違いが何となくわかってきました。確実ではありませんが、アドルフの楽器を使いながらならいくつか具体的なポイントを押さえることで古い奏法が再現できます。古い奏法・現在の奏法を体験していただくことで、より深い音楽表現のヒントを掴んでいただけると思います。もっとうまくなりたい人、何となくカベにぶち当たっているように感じている人、奏法に悩みを持っている人など、具体的に何か掴みたい人には手助けできると思います。アドルフ社の楽器を試奏しに来て下さい。

 先だって、ラッシャーマウスピースのアルト用とテナー用が入荷しました。修理の方が混んでいるため、まだ調整できていません。しばらくかかるかもしれませんが、調整が完了したらお知らせいたします。

2012/4/15

 上画像は在庫のRascher T・Sax MPです。テーブル反対側に凹んだようなキズがあります。

2012/4/11

 ヴィンテージラッシャーのアルトのバッファー部分を型取りしました。在庫にはめてみると僅かに違ってます。例えば、バッファーが違っていたとしても、そこから続くチェンバー部分の形や容積で調整してあるかもしれません。また、開きやフェイシングの長さとの兼ね合いもあります。要するに全体のバランスが重要になってきます。それでも息の入り口部分の影響は大きいです。試しに実験用のマウスピースで似た形にしてみたところ、ヴィンテージラッシャーの音色感が出てきました。多くのお客様から、ヴィンテージラッシャーの音色感を持ちつつ現代楽器に使えるピッチ感を持ったマウスピースをリクエストされてます。今までは数を持って選んでいただくことで対応しようとしていました。今後は入荷したマウスピースがあまりに違った形の場合、調整をすることが可能になります。アルトだけですが・・・。

2012/4/7

 立て続けにRascher マウスピースの販売や選定希望をリクエストを頂きました。ほんとうにありがたいことで、感謝いたします。アドルフ社などの古い楽器は、趣きのある音を聴いて楽しむのも良いものです。しかし少し真剣に吹き込んでみると、その奥に今まで感じたことのないサックスの世界が拡がっています。奏法についてや、セピア色と称される音色、そこから来る音楽など。試奏で体験してその片鱗だけでも垣間見ていただけると幸せになれるのではないでしょうか。以前、そんな体験をされた人からのリクエストが来ているのです。楽器は買えないまでも同じような感覚で吹けるマウスピースに注目されたようです。アドルフ社の楽器をご紹介するにあたり、もっとも感じ取っていただきたかったことを共感してもらえたみたいで、大変うれしく思います。残念ながら、この感覚は吹いていただくしか方法が無く、展示会やご来店いただいての試奏しか体験いただけません。当然ながらその人数は限られたものとなってしまいます。機会が増えるよう頑張ってみますので、機会があれば吹いてみて下さい。

2012/4/1

 Rascher マウスピースの追加分が入荷しました。上の2つはブッシャーのアルトとテナーの中古です。そしてそのままアルトを一つお買い上げのお客様がいらっしゃいました。このお客様はラッキーです。11個の中から選定いたしました。

中々すごい状況です。来週末にはナゴヤサックスフェスタに持っていくので、この中から選べるのは土曜日までとなります。気になってらっしゃる方はこの機会にいかがでしょうか。

2012/3/30

 ネット環境やPCの不具合でメールがうまく送れなかったりして申し訳ありません。本日、パーツが届き設定のやり直しなどでどうにか復旧いたしました。明日、ラッシャーのMPが入荷いたします。アルトは10個ほど在庫になる予定です。選定希望の方、お待ちしております。そして、ナゴヤサックスフェスタ開催まで一週間となってまいりました。皆様準備の方は大丈夫でしょうか。演奏で参加される方へ、演奏後のレセプションで行われるじゃんけん大会に景品を出せたらと考えてます。ご期待下さい。

2012/3/13

 フェスティバル終了いたしました。工房出発後しばらくしてのパンクや、目的地周辺からどうしてもたどり着けずにウロウロしたりとかのトラブルはありました。(修理代が痛いです)大きな事故も無く、無事帰ってこれてホッといたしました。会場では行き届かぬ所もあったと思います。それでも何かしら皆様に感じ取って頂けたら良いなと思います。今回は楽器フェアで疑問に思ったことに答えらしきものが見えました。一般の方でヴィンテージラッシャーMPを吹いてもらうと基準ピッチが割りと低くなります。現在のラッシャーMPでは440Hzくらいで行けそうです。楽器フェアでは極一部の方においてヴィンテージラッシャーMPでも440Hzで問題なく吹ける方がいらっしゃいました。今回関西サクソフォンフェスティバルでも基準ピッチについてはほぼ問題なく吹けるとおっしゃっていただいた先生がみえました。このヴィンテージラッシャーMPにおける基準ピッチの差はなんだったのか。そもそもラージチェンバーのMPでは顎で噛んでしまうと音が出ません。しかしゆるゆるすぎるとピッチが極端に低くなってしまいます。「良い意味で噛まないといけい」のです。ここで言う「噛む」とは、歯はMPに支点としてのせるだけで、唇の周りの筋肉だけを中心に寄せるように(口笛をふくように)することでしっかりとフォールドすることを指します。よく教本やレッスンで言われることですが、それがきちんと出来た上でさらに理想的にちからがかかっている必要があるようです。もちろんブレスも重要です。きちんとプレッシャーのある・圧力のかかった息を楽器に送り込む必要があります。体が大きくて徴兵などで筋肉が鍛えられていることの多い欧米人にとっては、その点、自然に息を吸って吐くだけでも日本人よりもしっかりと圧力のかかった息を吹き込むことが出来るのかもしれません。教本などで理想とされているアンブッシュアが完成されてないとラージチェンバーのMPは答えてくれなさそうです。逆に言えば、そこまでできてなくても現代の道具は答えてくれるわけです。だからこそそこまで出来るように練習するのですが、出来ているか出来ていないかが自分や先生でさえも正確に判断しにくいのではないのでしょうか。アドルフ社の楽器に限らず、古い楽器を吹くことにはそんな意味もあることを知ってもらいたいです。

2012/3/9

 明日は関西サクソフォンフェスティバルです。アドルフ社の楽器に触れる良いチャンスとなります。フェスティバルの演奏を聴きつつ、展示の方にも足を運んでいただけると幸いです。今までに触れたことの無い新しいサクソフォンの世界を体験いただけるかと思います。本日の夜に出発します。演奏は16時からですが、展示は準備出来次第オープンとなります。12時頃には試奏可能になると思います。それでは関西の皆様にお会いできることを楽しみにいたしております。

2012/2/28

 たてつづけですが、マウスピースが入荷いたしました。Rascher のソプラノ用1個、アルト用3個です。あいかわらず一個一個に個性がありすぎです(笑)。その分選ぶ楽しさはあるかも。関西サクソフォンフェスティバルでは販売可能なのでアルトは選定できます! 興味のある方は是非足をお運び下さい。これとは別に各少量づつ発注してあります。その内に入荷するでしょうから、またここでご案内できればと思います。

2012/2/25

 MPが入って来ています。Caravan Mouthpiecesと言うブランド名です。ロゴの頭にある、キャラバンと言う方の設計したマウスピースです。大学で教鞭をとりドクターの称号をお持ちの方のようです。正直にいいまして、吹いてみて評価にこまってます。ラージチェンバーの感じの吹き心地をもちながら、なめらかに音をつなげることができて吹き易いです。音色もラージチェンバーの感じで太くダークです。しかし、ピッチはRascherより低くなります。私が吹いた場合でA=430くらいの感じになります。以前少し触れたピッチの低さから来るサウンドのダーク感が出ているようなのです。まだ他の人に十分吹いてもらってないので、私の初見の感想しかでていませんが。機会があったら吹いてもらって評価をまとめていきたいと思います。

2012/2/14 

 ずいぶんと間があいてしまいました。そのあいだに、3/10関西サクソフォンフェスティバルと、4/8ナゴヤサックスフェスタの二つのイベント会場に企業ブースとして出展することがきまりました。会場までご都合をつけて来ていただかないといけませんが、多くの人にアドルフ社の楽器を体験していただければと思います。普段お使いのマウスピースとできれば3番くらいのリードをお持ち下さい。ところで、マウスピースにつきまして、ちょっとだけ動きがありました。Rascherのマウスピースを追加注文いたしました。入荷時期は未定です。アルトが10個くらい?入る予定です。その他も弱冠数入る予定です。上記展示には間に合いませんが、入荷したら発表します。またアメリカでRascher意外にクラシカルサクソフォン用にラージチェンバーのマウスピースを作っているところを見つけました。こちらはほぼ情報が無い状況なのでアルトを1個試奏用に取り寄せることにしました。試奏したらレポートします。

2012/1/9

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。遅い新年のあいさつとなってしまいました。今年に入って少しばたばたしています。そんなばたばたから二つほどお話を。長期休暇中と言うこともあり、隣の県や少し離れた所から、アドルフ社の楽器の試奏にいらしてくれたました。今回のお客さまは、以前吹いて頂いた2人とはじめての方です。アマチュアですが吹き込まれていて吹奏楽からラージアンサンブルと幅広くやられている方々です。アドルフを吹くコツを比較的早く掴んでもらったのですが、細かな奏法のコントロールが出来ないとのことで、色々話しながら練習して頂きました。アドルフ社の楽器は慣れてくると吹いているのがとても楽しくなってきます。ずっと吹き続けてもあきてきません。今回のお客さまは5時間ほど休憩することもなく吹き続けました。ご自分の楽器でも似た感覚で吹けないか模索してとりあえづラージチェンバーのマウスピースを買っていかれました。何より来たときの音と返り際での音が違っていて、太く安定性が格段に向上していて音程も良くなり何より楽器を響かせる吹き方が出来るようになったようでした。口の方が疲れたようでそれが無ければまだまだ吹き続けられそうでした。この感覚、よくわかります。それほど楽しくなってくるのです。口の疲れをコントロールできるようになれば一日中吹いていてもあきないと思います。そしてもう一つ。学校の吹奏楽のサックスセクションごと奏法チェックのためのレッスンをすることになりました。レッスンといってもラージチェンバーのマウスピースでなるべく噛まないように楽器を吹いてもらうだけです。それでも効果は絶大でした。中学・高校生にありがちな音程の不安定さが無くなり楽器もきちんと響くようになりました。今まで以上に繊細な小さな音も出せるようになりました。最後に全員で小さめの音で音階を吹いてもらいましたが、きれいに響いて、チューナーを使わなくとも大体音も合ってくれました。午前中半日でしたが自分達の持つ癖などを的確にわからせて矯正することができることが証明できました。なにより、今まで大人でアドルフ社の楽器に興味のある人とばかり話をしてきたのが、そうでない人でも奏法の話をする時に使えることが証明されました。非常に大きな成果だと思います。アドルフ社の楽器を使ったレッスン、本気で考えようかなぁと思うこの頃です。

2011/12/31

 今年も終わろうとしています。振り返ると公私ともに色々とあった年でした。世間でも大きな出来事がありました。そんな中、新しい出会いがたくさんありました。人と出会うというのはいいものですね。色々なことが広がっていくようで。今年は商売として何十年ぶりに関東圏にうかがいました。来年は違う地域にも出向くつもりです。本当に色々な方にお世話になりましたが、うまくお礼が出来てないような気がします。こちらの都合ですべての方に年賀状を出せるわけではありませんが、この場を借りて、厚くお礼申し上げます。今年一年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

2011/12/24

 先だって、懐かしい先生のご訪問がありました。こちらの先生には、9/14の画像の楽器を、はじめの頃にきちんと吹いて頂いたことがありました。その後、多くのアドルフ社の楽器が入荷したので久しぶりに吹いて頂ました。他の管楽器でもありますが、国によって奏法の違いが見られることがあります。(もっとも良い音楽であれば奏法に違いがあっても無くても関係無いのでしょうが) 文化には違いがあるのですから、何かしら違いは存在していると思います。その違いを理解した上で演奏に活かせるのであれば、すばらしいことだと思います。そんな一幕がありました。HP上、アドルフ社の楽器は奏法を教えてくれると言ってきました。それは楽器を吹きながら意識を内に向けて行くと、色々なことが見えてくるからです。MPのくわえ方にはじまり、口の中の様子、のど、ブレスコントロール、吹いている時の体の中の状態、チカラが入っている所など。吹くことに慣れてくると本当に色々なことがはっきりと理解できるようになります。何となくフレンチスクールだ日本式だと思っていたことについて、先生にあえて踏み込んで会話をさせてもらいました。先生の方でも今まで漠然と捉えられていたようですが、今回はっきりと音色や奏法の違いとして現れました。アドルフ社の楽器で舌の位置や形を検証して頂き、体の中の状態をご説明していただけました。こちらで聴いていたも音色の違いとして聞き分けられました。ところが、普段先生がお使いの自分の楽器で同じように吹いたところ、先ほどまでとは比べられないほどはっきりとした違いとして聞き取れるようになりました。先生の方も、今まで何となく知っていたが試すことのあまり無かった方法で、奏法を使い分けることできちんと吹き分けられることを発見されてました。雑誌や講習会などで有名なプレーヤーが奏法について解説することがあります。普段お使いの現代風の楽器は非常に吹きやすくできているので、それらを試そうとしても、うまくできてもできていなくても音が出てしまいます。体の中の変化をはっきりと認識できるアドルフ社の楽器ですと、解説された内容をより深く理解できると考えています。奏法に悩みを持つ人はもちろん、きちんと検証したい奏法がある人なども、この楽器は答えてくれるでしょう。高いレベルでも対応できることを再認識させて頂ける良い機会を頂けました。

2011/12/21

下記facebook上にて画像公開。

http://www.facebook.com/media/set/?set=a.142217785888287.25888.100003001989369&type=1&l=d83fe32579

 アドルフサックス社のアルトサックス1877年製 S/N39xxx が入荷しました。未調整の上、板金の処理方法や、トーンホールの修正方法にまずい所があります。演奏優先で調整しますがかなり時間がかかりそうです。時間のかかりついでに、今回はPADの色も白にしようと思います。この時代のサックスはほとんど白革Padで調整されてます。おそらくたいした意味は無く、白っぽく脱色するしか処理方法がなかったのではないかと思われます。ブースターの考えも無いのでPadの中心部分がたるまないよう糸で留めてあります。どこまで再現するかまだ決めていません。とりあえずはパーツの入荷待ちとなります。現状で音が出せるのですが、意外なことに9/12掲載のシルバーのアルトより吹き易いです。音程もこの楽器の方が少しましに思えます。管体形状も違うしLowキイが短い分吹きやすくて当たり前なのかもしれません。

2011/12/14

中古MPを入手しました。今回のものはクラシカルサックス、特にアドルフ社に使うには期待外れでした。ラッシャーのMPの方がよかったです。しかし、見比べる上でどこがポイントになってくるかのヒントがありました。そこでもう一度、昔のラッシャーMPと現行品のラッシャーMPを見比べてみると、重さの差:1グラム以下、チェンバー部の見た目のサイズ:昔の方が大きい、チェンバー部の外側のサイズ:昔の方が一回り大きい、ネック挿入部のサイズ:現行品16mm・昔15.9mm、数値化できないもののバッフルもわずかに昔の方が高い、ようです。そしてMasspacher(以下M)とA.Lelandais(以下A)にもちがいがありました。ネック挿入位置からチェンバーまでの距離がAよりMの方が1mmほど短くその分Mの方がチェンバー容積が大きい、見た目にもわずかにMの方がチェンバーが大きく見える、オープニングM1mm:A1.3mm。Aの方が吹きやすいですが、Mの方がアドルフに会っている気がするのは、容積が大きいのとそこのバランスをとるためのオープニングの狭さに秘密があるようです。チェンバー容積の大きいのと、バッファーが高くてそこの容積もでかい方がアドルフ社には合うようです。まだまだ買い続けないといけないようです。

 こちらでは反応がうすいので迷いましたが、ちょっとだけ書いてみます。もしアドルフ社のアルトでレッスンができたら、あるいは、アドルフ社のアルトで練習ができたらやってみたいですか? 一時間くらい自分の楽器と交互にして、月に2回くらいで連続5回集中的にやっていただくと、割と簡単に奏法が直ります。変なクセやチカラの入っている所があれば楽器が教えてくれるのですぐ直せます。その状態を覚えたまますぐにご自分の楽器を吹くと、人から言われてるけど自分ではわかりにくかったことが結構楽に感じることが出来ます。全くの初心者では難しいかもしれません。しかし経験年数が長い人で、自分の奏法に何か考える所のある人ほど有効です。ほんの一瞬バランスを崩すかもしれません。でも自分の楽器を吹けばすぐ戻るから大丈夫です。そのバランスの崩れも決して嫌な感じで二度と戻れなくなるような感じでは無く、自分の楽器を吹いた時には調子が良くなる感じのはずです。この工房まで来て頂ける方になります。3000円/1h。出張だと地元の楽器屋さんに教室を臨時で開いて頂くしか無理かなぁ。音楽教室や楽器屋さんでこんな特殊レッスンや、イベントとして19世紀サックスの展示をやりたい所がありましたら、ご連絡下さい。

2011/11/27

 最近、メールなどのやり取りで思う所があって、シリーズⅢ(以下S3)の開発に関する記事を読み返していました。かねてよりS3は古い楽器を継承しつつも最新のコンセプトと取り混ぜて設計されているように解説されてましたが、自分の中では少し印象が違っていました。音や吹奏感が軽く思えていたのです。開発コンセプトを見る限り、そんなことはありません。人によってはシリーズⅡより吹奏感が重いといいます。どうも自分はかつて、上っ面で吹いてその印象で決め付けているようでした。開発コンセプトの中にはマーク6やもっと古い楽器の遠鳴りする感じをイメージしてる部分もあるし、更に古い楽器のように小さな音でコントロールする、或いはより細かなニュアンスを出せるようにできることがうたわれています。そして組み合わせるマウスピースとしてバンドレンがあります。今まで開きが狭くて音が出ませんでした。オプティマムを見ると、開きが狭いだけでなく、ラージチェンバーとは言いませんが、チェンバーまでの横側がラージチェンバーのデザインに似ています。割と軽やかに鳴って抵抗感がある楽器と、ややラージチェンバーに似たマウスピースを使う。これってアドルフや19世紀サックス、1900年代初頭の楽器に見られる組み合わせに、ある意味近いです。実際、ドゥラングル先生はスーパーバランスアクションや息子時代のアドルフでレコーディングしてるし、色々なアイデアを求めたり奏法を見たりするためにそれらを吹いているようです。だとするとアドルフをオリジナルセッティングで吹くことは、S3を吹くことに何か役立つのではないかと思えます。その上でS3は現代奏法を行うこともできのでしょう。古い奏法と今ではあきらかに違う所がありますが、古いやり方を知って新しいやり方との違いを掴むのは、ひょっとしたら有効な方法なのかもしれません。だとすると、自分がアドルフの楽器に奏法を教えられたと考えている以上に、アドルフの楽器で奏法を考えることには大きな意味があるのかもしれません。Facebook上の「Adolphe Saxの展開について」で語ったように、色々な意味でより多くの人達にアドルフを試奏してもらえるよう、機会を増やしていきたいです。

2011/11/17

 Facebookのウォールのノートに「Adolphe Sax の展開について」と題して7ページほど上げた所、結構な反響をいただきました。このHP上でも触れてますが、吹いてもらうことで色々なことがわかってもらえると言うことを延々と書いたような気がします。ともかく吹いてもらう機会を増やすと結論付けました。今日上げた画像は新たに入手したサンプルです。Masspacher社とよくにています。同じ型から作りだされた感じがします。細かな違いは加工による違いなので同じ型から作っても数ミリのデザインの違いは発生します。今回入手したのはA.Lelandais社と言う所で、マウスピースの製造については歴史ある会社のようです。そうすると、はたしてどちらの会社で作られているのでしょう。それとも似てしまったのか、別の会社の製造なのか、謎は深まるばかりです。ちなみに吹奏感も似ていますが、アドルフ社の楽器に使うにはまだバッファーの深さとチェンバーの大きさが不足してるようでした。

2011/11/10

台の上6本がアドルフサックス社です。

 楽器フェア終了いたしました。多くの方に足を運んで頂きありがとうございました。アドルフ社の楽器を試奏頂けた方には、奏法の違いなど驚きや発見を頂けたのではないかと思います。お腹を使った呼吸や、その吐き方、マウスピースのくわえ方など、一番初めに音を出した時のことや、以前のレッスンなどで指摘されたことなどを、改めて思い出された人もいたのではないでしょうか。サクソフォーンを吹くと言うことを見つめ直すきっかけになっていただければと思います。また機会があれば、皆様のお手に触れられるよう頑張りたいと思います。

2011/10/29

 25日更新のMass社のマウスピースについて。刻印は「MASSPACHER」となっています。ネットでしらべると、パリの金管楽器の工房みたいで、正式にはMass社でなくMasspacherのすべての綴りで発音するようです。マスパッシャーとでも読むのでしょうか。とりあえず、HP中の綴りを本日すべて変えます。

2011/10/25

 上のマウスピースは9/12の日記と「マウスピースの違い」に出てくるMasspacher社のマウスピースです。このページをご覧いただいている方にお願いがあります。楽器フェアにこのマウスピースを持っていきます。興味のある方、試奏をお願いいたします。現在クラシカルサックス用のマウスピースは販売されていません。アルトだけでも量産できないか模索しています。このマウスピースははっきり言って吹きにくくコントロールもしにくいです。しかしプレーヤーの方からこのマウスピースから出てくる音色と吹き心地が捨てがたいものがあるといわれました。実際そばで聞かせてもらって鳥肌のたつような音色でした。このマウスピースをコピーしようかと思うのですが、もっと幅広く意見を聞かせて頂きたいのです。このページを見て楽器フェアに試奏にみえる方は一言お申し出下さい。このマウスピースは展示いたしておりません。またネックの差込部分が現代のマウスピースより小さめなので楽器をお持ち頂いてもネックにはまらないかもしれません。あらかじめご了承下さい。いつもお使いのマウスピースとリードはぜひお持ち下さい。先着順ですが意見を聞かせて頂いた方に粗品を進呈いたします。

2011/10/3

 楽器フェアの出展で、19世紀サックスを展示します。アドルフサックス社の実物が並ぶのもあまり無いことだと思うのですが、実はもう一つの展示予定品のクラリネットが、地味に目玉だったりします。学校の吹奏楽部様や興味のある方には是非、お足を運んでいただきたいです。このクラリネット、革製のPADで調整してあります。数年前から、地元の学校向けにやりはじめたサービスです。一年生や新入生用の楽器として採用してもらっています。残念ながら、新入生用の楽器は状態の悪いものをあてがわれることが多いです。しかも近年、予算の削減などでこれらの楽器の修理代を削られる傾向があります。そこで提案しはじめたのですが、クラリネットだけでも革製PADにすることで修理のスタンを長くしてもらい、その分ほかの楽器の修理をしてもらおうと思いました。やりはじめてから三年以上経ちます。やっていただいた学校などではクラリネットの修理が減る成果がでています。その他の木管や金管の修理に振り分けることができていると思います。顧問や演奏を教える先生の立場からすると実際に吹いてみて違和感が無いか確認したいのではないかと思われます。また近年、革製PADのクラリネットが話題にあがることがあります。メーカーがはじめから自社製品に装着している場合はよいのですが、新たにフィッシュスキンから革製PADにする場合や自分の楽器を革製にするのは躊躇するかと思います。どうぞ、試奏しに来て下さい。お待ちしています。

 2011/10/1

 間に合いました。本日ブッシャー社A・Saxの全Pad交換とバランス調整が終了しました。これで楽器フェアで展示できます。ブッシャー社はラッシャー氏が開発に携わったことで19世紀からのサックス形状が色濃く残りました。アドルフサックス社を正式に引き継いだのはセルマー社ですが、ブッシャー社はアドルフサックス社の持つ放射線状と言われる管体形状をうまく取り入れました。しかし時代には逆らえなかったのでしょう、現代サックスに備わったキイシステムを取り入れた上に、いくつか特殊なトリルシステムを備えたため、少々重量の重い楽器となってしまいました。ブッシャー社の持つ独特の音色は、この管体形状と重さからきていると思われます。管体形状がアドルフサックス社に似ていることから、吹奏感も少し似た感じになっています。現在ではジャズ用としての出番が多いこの楽器ですが、こんな見方をするとクラシック側からも見直してみてもいいような気がいたします。ラージチェンバーのMPでアドルフサックス社の楽器を吹いてから、同じMPでブッシャー社の楽器を吹いてみて欲しいです。楽器フェア開場で試して頂ける準備ができましたので、お立ち寄り下さい。

2011/9/16

 はじめこの楽器を吹けるマウスピースを探しました。ものすごく古いセルマーのMP、1900年代はじめのジャズ用、ヴィンテージのラッシャー、現在売られているセルマーやメイヤーなど。どれを吹いても結果は同じでした。プレイヤーの方はどれでも吹けるのに、自分は音が出ません。道具じゃなく吹き方なんだと思いました。色々なマウスピースを試したのには別の理由もありました。付属していたマウスピースがよくわからないメーカーだったので、この楽器にあったものなのかわかりませんでした。しかし色々試した結果、付属していたマウスピースが一番吹きにくかったのですが、音色が一番合っているようでした。付属していたマウスピースには、独特の抵抗があります。力が入ると音が出なくなります。しかし、このマウスピースをアメセルに付けて吹いたところ、目の前にCDでしか聞いたことの無いミュール氏の音が現れました。以外なことに慣れてくるとこのマウスピースは吹き易く思えてきました。試していただいたプレイヤーの方もはじめはいぶかしげだったのが、だんだんとこのマウスピースいいねと言ってくれました。マウスピースの違いに画像掲載。(Masspacher社のもの)

2011/9/12

 雑誌で何人かのひとが、アドルフの楽器を吹いた感想や吹き心地を書いてました。それらはおおむね、楽器は軽くその分軽い響きである、バランスをとるためにマウスピース側は重くなる仕掛け、それでも大きく鳴らすことはできなくて音は小さい、しかし音色は何ともいえない良い音がする、と言うのです。はじめは創造がつきませんでした。浜松の楽器博物館にもいきましたが、見るだけで触れないのでわかりません。CDを手に入れて聞きましたが、その音と先ほどの文章がつながることが想像できません。結局、現物を手に入れて吹いてみるしかないと思い、息子時代のアドルフサックス社のなら安く手に入るだろうと思い、探してもらうことにしました。数ヶ月後、アルトの入手情報があり、すぐ買うことにしました。この楽器は1900年代のはじめごろに作られたと思われるもので、パリコンセルヴァトワールをグランプリ(主席)で卒業された方に副賞として与えられたものらしいのです。それらの記述と卒業生の名前と思われる個人名がBellの会社名の刻印の上にありました。おそらくこの楽器にはじめから付けられていたであろうマウスピースもありました。約一ヶ月後に楽器が届き、早速吹いてみると、うっ!! となりました。音がでないのです。下の方のスケールが安定して出ません。楽器に異常は無く、バランスが狂っている訳でもないのです。プレーヤーの方に吹いてもらうと、とてもいい感じで鳴ってくれます。結論から言うと,奏法が原因でした。いわゆる、のどをきちんと拡げて吹かないとだめなようなのです。より正確に言うなら、首が一回り太くなるように吹けないとだめなんです。海外のプレーヤーに多いのですが、演奏中に首をみていると、一回りあるいは、頭の直径より首まわりの方が太くなっています。あんな風に吹けないとアドルフサックス社の楽器は音が出ないのです。正しい吹き方ができないと、アドルフサックス社の楽器は音が出ないのです。これには驚かされました。サックスの奏法に詳しい人に色々聞いて、何とか音を出すためのヒントを得ました。さらに驚いたことに、この楽器で音が出るようになると、すぐ首が膨らんで吹けるようになったのです。この楽器の持つ抵抗感が体に自然な脱力状態をつくってくれたようです。その後、自分はクラシック・ジャズに限らず、色々な種類のマウスピースが吹けるようになりました。この楽器は奏者を正しく導いてくれるのです。新鮮な驚きでした。

2011/9/11 トップページの「はじめに」のマウスピースの文章からつづく

 そもそも、ヴィンテージと言われている楽器たちの持っているあの音色は、どこから来ているのでしょうか。答えは19世紀サックスです。アドルフサックスが発明し提唱したサクソフォーンと言う楽器が世の中に広く認知されると、彼の手を離れて独自の発展を遂げるようになりました。ジャズとの融合や新しい世代のクラシック奏者によって奏法や楽器自体も変化していったのです。そうやって、その時代その時代に必要とされた奏法や欲しいとされた音色に合わせてサクソフォーンも変化していきました。しかし、そう言った変化のなかにも残ったものがあるのです。現代のサクソフォーンはそう言った変化の先にたどり着いた形だと言えるでしょう。しかし、時代の中で取り除かれた部分もあるはずです。アドルフサックス氏が提唱したサクソフォーンの形を受け止めて継承しようとしたのがシガートラッシャー氏ではなかったのでしょうか。こうして見てみると、現代あるサックスは、発展してきた一つの未来であって、また別の形で発展していく可能性も秘めているように思えるのです。偉大なサキソニスト、ミュール氏やラッシャー氏、多くの先人達の頭のなかには、19世紀のサクソフォーンの音色が良くも悪くも残っていたのでしょう。そこからどうゆうふうに進んで行くのか、先ほど書いた現代のサクソフォーンはその進化の結果でもあるのです。私達日本人には、このような楽器の発展が知識ではわかっていても、実体験としては非常に薄いものではないでしょうか。(これは何もサクソフォーンに限ったことではありませんが。) 必要なことではありませんが、一度原点にたちかえってみて、本気で過去の楽器に取り組んでみるのも悪くないと思います。トラヴェルソやナチュラルホルンやナチュラルトランペットなどはそんな取り組みの一つの結果と言えると思います。もちろん音色に魅せられたところが大きいと思いますが。