ブッシャー社アルトサックスの「TrueTone」モデルと「ラッシャーマウスピース」またはブッシャー社の「TrueToneマウスピース」の組み合わせをお薦めいたします。ラッシャー氏は初期型のアリストコートを使っていたようなので、新しくともその辺りまでが対象となります。私個人としましては「TrueTone」のみを対象と考えています。あくまでもアドルフサックスの代用楽器として考えた場合、「TrueTone」でも抵抗感が軽くて吹き易いかなと考えています。アリストコートより新しいモデルではそのスイートな音色からジャズで使われることを想定した吹き心地になっていて、私の考えるアドルフサックス社の代わりの楽器としてはやや似つかわしくないと思えるからです(ビックB、トップ&ケーンなど)。 「TrueTone」のなかにも4~5種類が存在します。 シリーズⅠ ダブルオクターブキイの極初期タイプ。 シリーズⅠa オクターブキイが現代のような自動でトーンホール半田付け、ネックが短めのタイプ。 シリーズⅡ 上記のままのデザインでトーンホールが引き抜きでネックが長めのタイプ (数が一番出回っています)。 シリーズⅡ後期 第2オクターブトーンホール位置がネック側に移動してオクターブキイのデザインが シンプルになった。 シリーズⅢ Ⅱ後期のタイプにフロントFが付いた。 シリーズⅣ 上記と同じタイプのままネック長は同じものの2mmほどきつめの角度が付いた。 右手人差し指FからのG#とBb連携キイのBb側だけ接点部分に角度調整できる パーツが付いた。左手小指テーブルのG#キイが丸の貝からプレート上に変更。 オクターブキイが杓文字状から丸貝のデザインに変更。 (※コレクターの間で「シリーズ」分けされているので便宜上そう呼び分けました。)
以下の画像、左シリーズⅡ、右シリーズⅣ
 オクターブ位置の移動とシステムの変更  左手G#キイのデザイン変更、テーブルキイがプレート状なのはⅣだけ。G#キイはブッシャーではどれも扱いにくいですが、Ⅳのプレート状が操作性が良いです。
 フロントFキイの有無
  左画像、手前がシリーズⅡで奥2本がシリーズⅣ、2mm厚のコルク分だけ角度が浅くなります。 右画像、アドルフサックス社とシリーズⅣ、アドルフはほぼ直角です。 シリーズⅣとSelmerジュビリーSeriesⅡのネック角度はほど同一です。Selmer SeriesⅢの方がきつめです。
「これらの中でシリーズⅣがお薦めです。 シリーズⅡと比べ第二オクターブトーンホール位置がネック側に移動することで発音が良くなってます。ネック角度が2mmとは言えきつめになることで抵抗感がアドルフ社に近づきます。また、High F#キイはないものの、現代楽器とキイの配置が近くなることや、フロントFキイが付くこと、左手G#キイがプレート状になることで操作性が格段に良くなります。あとは製番で見分けるしかありませんが、#220000以降であればシリーズⅣだと思われます。仕上げについては、人気があって価格も高めですが、サテンシルバーがいいです。ラッカーは吹き込まれていてくたびれた感じのものが多いのですが、サテンシルバーは吹きこんでも重いだけのことはあって、くたびれるまで吹き込まれたものは少ないようです。サテンシルバー仕上げの方が管体の響きが生きているものが多い感じがします。ネットでの情報によると、ブッシャーでの銀メッキはメッキ層に2時間ほど漬け込むらしいです。実際古い楽器の銀メッキはメッキ層の厚いものが多いですし、簡単には薄くなってきません。銀メッキの楽器はやや重めの感じがするのは、古い楽器では本当に重量としておもいのかもしれません。 (現状シリーズⅢとシリーズⅣについてOtトーンホール位置やネック角度他の比較が出来ていないため評価できて いません。ただし、テーブルキイのデザインを考えるとやはりシリーズⅣが良いと思われます。) |